本研究課題では、Bell (1982)、Loomes and Sugden (1982)によって提案された後悔理論(regret theory)を一般化した多属性後悔理論の公理論的基礎の構築と、実験経済学の手法を用いて実証的妥当性の研究を目的とする。 この研究目的に対して、多属性後悔理論の公理的基礎付けをおこなった。公理的な基礎付けに当たっては、主観的期待効用理論を構築したSavageのアプローチを援用することで、必要となる拡張が可能であることを明らかにした。 さらに、上記の多属性後悔理論の実験による選好測定をおこない、各属性の評価をおこなう効用関数について、リスク回避的であることが確認された。さらに、後悔のとらえ方については、①属性が異なる場合でも後悔回避的であること、②属性ごとに後悔回避の程度がことなることを明らかにしている。 これらの研究成果は査読を受けた国際ジャーナルへの投稿がなされており、査読の結果を待っている状態にある。さらに、上記研究内容を含めた意思決定論にかかる専門書にまとめてあり、すでにそのいくつかが海外の主要な出版社から出版されている。
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