研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、ローザンヌ大学ワルラス文庫の調査を手掛かりに、ワルラスの経済学形成過程を明らかにし、一般均衡理論の起源とその意義を明らかにすることである。最終年度である令和元年度は、これまでに実施したワルラス文庫の調査結果に基づき、研究成果の仕上げ、その発表と再検討を行なった。 まず5月には、ヨーロッパ経済思想史学会(ESHET)リール大会で、ワルラスの一般均衡理論の起源を問う論文“Numeraire, Workers, and the Tax system: Was Isnard a precursor of Walras?”を報告した。この論文の結論はワルラス文庫におけるイスナールの著作へのワルラスの書き込みの有無が、決定的な役割を果たす。学会報告当日とその前後、本論文が対象とするフランスの18世紀の経済学者イスナール研究の権威であるRichard van den Berg教授から、貴重なコメントを得ることができた。 9月には、国際ワルラス学会(AIW) ローザンヌ大会に参加し、ワルラス研究のメッカであるローザンヌ大学やリヨン第2大学の研究者たちと本研究テーマについて貴重な情報交換ができた。 令和元年度の後半は、前年度に国際査読ジャーナルに投稿した論文について、再々投稿の指示があったので、その修正作業に専念した、査読者の指示に従って再修正を加え、2月に再投稿した。
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