研究課題/領域番号 |
17K03643
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
藤田 菜々子 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20438196)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スウェーデンの経済学説 / ストックホルム学派 / スウェーデン学派 / 北欧学派 / スウェーデン・モデル / ケインズ革命 |
研究実績の概要 |
スウェーデンの経済学説の展開について、スウェーデン社会との関係性を中心に、研究を継続的に進め、書籍(単著)として出版する予定の原稿を作成した。 当該年度は、第1に、スウェーデン経済学者の「第2世代」から構成された「ストックホルム学派」とイギリス人経済学者ケインズによる『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936年)作成との関係性について研究した。両者の関係性については、主に理論史の観点から詳細な研究が進められてきたが、本研究では国際的人物交流にも注目し、スウェーデン経済学界とイギリス経済学界の相互の影響関係を検討した。また、ケインズの『一般理論』に比べてストックホルム学派の理論は革命的な影響力をもたなかったが、そうしたストックホルム学派の衰退の理由を検討した。 第2に、第2次世界大戦時から近年に至るまでの「第2世代」の動向について研究した。ストックホルム学派としての理論的・政策的結束は失われたが、ミュルダール、オリーン、ハマーショルドを中心に、彼ら個々人の政治活動はスウェーデン社会に大きく作用したことを明らかにした。 以上のように新たな研究を進めながら、これまでの研究年での研究成果を原稿にまとめるとともに、論文刊行や研究発表を行った。当該年度に公開した成果は次のとおりである。藤田菜々子(2021)「スウェーデンにおける経済学の生誕――アンデシュ・ベルチとカール・フォン・リンネ」『オイコノミカ』56(1), 1-19. 藤田菜々子「新マルサス主義者としてのヴィクセル」第6回「良き社会」研究会、オンライン、2021年6月26日。藤田菜々子「ストックホルム学派の群像とケインズ『一般理論』」経済学史学会関西部会第179回例会、オンライン、7月10日。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症問題の持続により、出張を伴う文献渉猟はできていないが、これまでの研究年における研究成果を論文や学会発表などとして継続的に公開することができているため。また、書籍として出版する予定の原稿をおよそ作成し終え、出版のめども立ったため。
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今後の研究の推進方策 |
科研費の研究成果公開促進費(学術図書)の申請が採択されたので、研究成果を書籍として発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症問題の持続により海外出張の予定がなくなったため、次年度使用額が生じた。可能であれば出張費として用いるが、主に研究遂行に必要な文献渉猟や英文校閲などに使用する見込みである。
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