研究課題/領域番号 |
17K03645
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済学説・経済思想
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
原 伸子 法政大学, 経済学部, 教授 (00136417)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 福祉国家 / ジェンダー / 公私二分法 / 女性労働組合連盟 / イギリス |
研究成果の概要 |
本研究の目的は、両大戦間期、とくに1874年に設立されて約半世紀の間、中心的存在であった「女性労働組合連盟(WTUL)」の歴史に焦点をあてて、当時のジェンダー平等思想と公私の狭間におかれた女性労働者の姿を描き出すことである。筆者は、リバプール大学におけるラスボーン文書や、ロンドン大学Women's LibraryにおけるWTUL関連の文書に着目した。 そこで明らかになったのは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、低賃金と苦汗労働に直面していた女性労働者と女性労働運動は、一方で男女平等賃金を要求しながらも、他方では「家族手当」の実現による母性の維持を主張したことである。
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自由記述の分野 |
経済学史、ジェンダー経済論
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義は、戦間期における女性労働者組合運動の歴史の中に福祉国家の起源を見出したことである。当時のイギリスの女性労働者は家族手当と男女平等賃金を要求した。家族手当とは家族(私的領域)における母性と子どもに対する国家の介入であり、男女平等賃金とは公的領域(労働市場)における平等の要求である。前者はフェミニズム思想の「差異」派、後者は「平等」派と呼ぶことが出来る。つまり、不況と苦汗労働に対峙していた女性労働者は、家族手当によって家族賃金を要求し、男性労働者の賃金低下に反対したのである。ここからは、ワークライフバランス政策にジェンダー観点が必要であるという現代的意義を導出できる。
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