「18世紀フランス政治経済学の理論的解明・カンティロン、ケネー、チュルゴを中心に」と題して、3年間にわたる研究を一応終了した。以下、最終年度の研究成果から順に列挙する: 1. 2019年5月23-25日、フランス・リール大学で開催されたヨーロッパ経済学史学会に参加、ルネッサンスから近代のイタリアの貨幣経済学者の業績について議論。2. 6月2日、日本経済学史学会大会(福岡大学)において、チュルゴの価値と貨幣について報告。貨幣については、記号論、あるいは翻訳可能な言語論とでもいえる理論をチュルゴが展開していることを紹介、また、交換理論については、主観価値説の立場に立つことを主張。その限りで、交換は、それぞれから見て不等価交換になっている。3. 9月15日、International Conference(明治大学)で、Contributions to Economics by French Economists in 18th Century を報告。4. 10月19日、日仏経済学会(早稲田大学)で報告、先進国と途上国の貿易をつうじた搾取の可能性について報告。貿易の推進、という論点は、18世紀フランスの重商主義と自由主義にとっても重要な問題であった。5. 11月23日、立教大学において国際会議を主催。フランスとオーストリアから著名な経済学者たちを5名招聘し、フランスの重農主義とその影響、チュルゴの経済学、重農学派の古典派やマルクスへの影響、について議論した。 研究期間全体の成果:国際的に著名な研究者たちに呼びかけて論文の投稿を募り、The Foundations of Political Economy and Social Reform と題してRoutledgeから出版、 国際協力による研究成果を世に問うことができた(2018年)。チュルゴの価値と資本の研究も進展した。
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