研究実績の概要 |
溝渕健一・谷崎久志 (2007),K. Mizobuchi and H. Tanizaki (2014)では,下記の研究を行った.Deaton-Muellbaur (1980) によって提唱されたAlmost Ideal Demand System(AIDS) は,推定の容易さ,需要モデルの制約の検定ができるなどの利点から,多くの需要分析において用いられているモデルである.需要分析の研究では,価格弾力性や所得弾力性に興味がある.ところが,これまでのAI 需要システムによる研究では,パラメータの推定値が与えられ,それを基にして弾力性の点推定値のみが計算されていた.そのため,弾力性の推定量の分布に関する情報はほとんど提供されていなかった(稀に,標準誤差の近似を掲載する研究はある).ブートストラップ法を用いることで,弾力性の分布を求める.これによって,推定された弾力性の標準誤差,p 値,信頼区間などの情報から,弾力性の推定量に対して統計的な検証を行うことができる. 以上の結果を踏まえて,本年度の実績としては,The Power-Saving Behavior of Households: How Should We Encourage Power Saving? (K. Mizobuchi and H. Tanizaki 著)というタイトルの本を Nova Science Publishers, Inc. から出版した。AI需要システムを用いて,家計の節電行動の実証分析を行った。
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