Ma and Tanizaki (2021) では,中国の株価を例にとって,株価変動の要因を分析した。特に,株価の収益率の分布を正規分布でなく,より裾野の広いt分布を用いて,SV(Stochastic Volatility)モデルを推定した。すなわち,t分布を用いて,非対称効果,曜日効果,休日効果が株価変動に影響を与えていることを確認した。さらに,SVモデルで推定した株価変動と実現ボラティリティとの比較を行った。その結果,予測については,正規分布のSVモデルがt分布のSVモデルより良い予測が得られた。 Ma and Tanizaki (2022) では,ビットコイン/円(BTC/JPY)のプライス・クラスタリングという現象の分析を,ティック・データを用いて,行った。まず,ビットコイン/円にプライス・クラスタリングは日中変化しているということを示した。特に,ビットコイン/円の最後の二桁が00となっている額でクラスターが起こっていることが分かった。しかし,時間帯によって,ビットコイン/円の額自体の大きさには違いがあることも示された。 以上のように,本年の研究では株価やビットコインの変動要因を様々な角度から分析を行った。 これらの研究の派生的な研究の一環として,溝渕・谷崎(2021)で『統計学』をミネルヴァ書房から出版し,また,渡辺・谷崎(2021)で大学生のキャッシュレス決済に関する計量分析を消費者庁・国際消費者政策研究センター,リサーチ・ディスカッション・ペーパーNo.1としてまとめた。
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