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2018 年度 実施状況報告書

非線形時系列手法を用いた為替レートの分析

研究課題

研究課題/領域番号 17K03663
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

藪 友良  慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (90463819)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード貨幣需要関数 / 共和分 / 単位根 / 低金利
研究実績の概要

貨幣需要関数の推定では、被説明変数は貨幣需要の対数とする一方、説明変数として名目金利を用いるか(いわゆるsemi-log function)、名目金利の対数を用いるか(いわゆるlog-log function)に関して、いまだコンセンサスは形成されていない。
貨幣需要関数の定式化を特定することは、以下3点から重要となる。第1に、定式化を特定することで、経済モデルの前提に関する情報が得られる。第2に、定式化の違いはwelfare cost of inflationの計算に影響を与える。第3に、定式化の違いは、ゼロ金利において貨幣需要の動きに大きな違いを生じさせる。
Lucas (2000)では、1900-1994年の米国のデータを用いると、log-log functionの方がデータとのフィットが優れていること、インフレ率が10%のときwelfare cost of inflationは incomeの1.8%に等しいとしている。これに対し、Ireland (2009)は、定式化の違いは低金利のもとで顕著となることから、データを2006年まで延長し低金利の期間(2002-2004)を分析に含めることで、semi-log functionの方がデータとのフィットが優れていること、welfare costは小さいことを示した。
Ireland (2009)の指摘は正しい一方、低金利の期間は2年(2002-2004)と短く、その結果は頑健ではない可能性がある。我々は、sweep adjusted M1が利用可能な2013年まで延長し、Ireland (2009)の分析を再検証した。結果、Lucas (2000)が主張した通り、貨幣需要関数としてはlog-log functionの方がデータの動きを捉えることができていることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

結果をWorking Paperとしてまとめた。この論文は、できるだけ早く学術雑誌に投稿する予定である。また、別に日本のデータを分析しており、これについてもWorking Paperとしてまとめて、投稿する予定である。

今後の研究の推進方策

米国データでは、log-log formを支持する結果が得られた一方、この結果が低金利を経験した他国においても共通の現象であるかは定かではない。このため、我々は、長期間にわたり低金利を経験した日本のデータを用いて貨幣需要関数を推定する。日本では、1995年以降、a near-zero interest periodが20年間以上も続いており、貨幣需要関数の定式化を検証するうえで格好のデータとなる。現在、日本のデータを用いて、貨幣需要関数の推定を行っている。

次年度使用額が生じた理由

残額は3万5千円程度生じたが、無理に支出せず次年度使用に組み込み次年度、デジタルペーパー(ソニー)の購入に当てる予定である

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] The Demand for Money at the Zero Interest Rate Bound2018

    • 著者名/発表者名
      Tsutomu Watanabe and Tomoyoshi Yabu
    • 雑誌名

      Central Bank Communication Design, Working Paper Series No. 002

      巻: - ページ: 1-31

    • オープンアクセス
  • [学会発表] On Trigonometric Trend Regressions of Unknown Frequencies in the Presence of Autoregressive Errors2018

    • 著者名/発表者名
      Mototsugu Shintani
    • 学会等名
      4th Hitotsubashi Summer Institute
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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