研究課題/領域番号 |
17K03667
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研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
程島 次郎 名古屋商科大学, 経済学部, 教授 (30181514)
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研究分担者 |
三澤 哲也 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (10190620)
宮原 孝夫 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 名誉教授 (20106256)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 期待効用無差別価値 / Normal mixture / IRRA / Aumann-Serrano index / 資産価格の評価への応用 |
研究実績の概要 |
期待効用無差別価値の原理に基づいた研究を予定どうりに行った。昨年度から行ってきた研究を専門雑誌に投稿し、論文3本の掲載が決まった。これらは、効用関数が指数関数の場合の期待効用無差別価値から導出される指標で、Miyahara (2014)で定義されたIRRA (inner rate of risk aversion)と呼ばれ、不確実性を持った資産、プロジェクト、キャシュフローなどを表す確率変数の望ましさを表す。出版が決まった論文では、問題となっている確率変数が、(1)discrete normal mixture distributionsのクラスに従っているときのIRRAの特性を明らかにし、米国の株式に応用した、(2)discrete normal mixture distributionsのクラスに従っているときにIRRAをBitcoinの評価に応用し、米国の株式と比較しBitcoinの特性を明らかにした、(3)discrete normal mixture distributionsで条件付分散がGARCH(1,1)に従っているときの効用関数が指数関数の場合の期待効用無差別価値の特性を明らかにした。 他には、問題となっている確率変数が、(1)discrete normal mixture distributionsで条件付分散がGARCH(1,1)に従っているときのIRRAの異時点間の特性を示す論文、(2)discrete normal mixture distributionsのクラスに従っているときのIRRAを日本の株式市場に応用した論文、(3)同じくdiscrete normal mixture distributionsのクラスに従っているときのIRRAを日本の個別株に応用した論文、などを作成した。これらは、それぞれ専門雑誌に現在投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
効用関数が指数関数の時の期待効用無差別価値やそこから導出されるIRRAの評価を、問題となっている確率変数が、(1)discrete normal mixture distributionsのクラスに従っているとき、(2)discrete normal mixture distributionsで条件付分散がGARCH(1,1)に従っているとき、についての特性は、当初期待していた以上の結果が得られた。また、これらの結果を世界的に注目を集めているBitcoinの評価に応用して興味のある結果が得られたのも、当初期待していた以上の結果が得られたと言える。 また、これ以外にも、(3)効用関数がリスク愛好的な場合のIRRAの特性の研究とその応用、(4)日本や米国の主として株価に応用する実証研究などの応用が実行できた。 他にも、主としてIRRAの推定に関する統計学的および計量経済学的研究を展開できる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
効用関数が指数関数の時の期待効用無差別価値から導出されるIRRAの、リスク愛好的な場合の特性に関する研究を完成し、専門雑誌に投稿する。 問題となっている確率変数がdiscrete normal mixture distributionsで条件付分散がGARCH(1,1)に従っているときのIRRAの異時点間の特性を示す論文を修正し、適当な専門雑誌に投稿する。 日本のデータを使って、問題となっている確率変数がdiscrete normal mixture distributionsの場合のIRRAを計算しSharpe ratioと比較する論文を修正し、適当な専門雑誌に投稿する。 アメリカのDOW30のデータを使って、IRRA同じことだがAumann-Serrano performance index を計算し、アメリカの株価の特徴を明らかにする。この場合の推定は、GMMEにする。 IRRAの推定に関する計量経済学的研究、すなわちtemporal aggregationとMarkov switching modelを仮定したときの推定問題などを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、海外出張などをしないで、主として国内の学会などでの発表を優先し、また研究に集中してあまり研究費を使用することが少なかったためである。翌年度は、海外出張や計量ソフトの購入など、支出金額が多くなるので、問題なく使用できる予定である。
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備考 |
大学の教員紹介の中で、業績欄があり、その中に専門雑誌に掲載された論文が書いてある。
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