研究課題/領域番号 |
17K03670
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
水島 淳恵 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80536334)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 家族の経済学 / 女性の労働参加 / 家計内バーゲニング / 経済成長 / 社会厚生 |
研究実績の概要 |
我が国の人口構造が少子高齢化へと急速に進展するなか、短期的には有効需要の減少・長期的には労働力人口の減少に起因した経済成長率の制約が予測される。現行の財政再建プラン・社会保障制度は一定の実質経済成長率(1%~2%以上)をベースとして構築されているため、持続的な経済成長を維持し、社会厚生水準を高める経済財政政策の制度設計が喫緊に求められている。従来の経済学では社会の根源的な校正要素として「個人」が想定さrていたため「代表的個人」の効用最大化仮説および利潤最大化仮説をミクロ的基礎としたモデルが経済行動を説明する基本原理として支配的であった。しかしながら現実の経済活動において我々個人は家族の中で生活しており、個人の意思決定は家族の合意としてなされる場合がほとんどである。そこで本研究では、家計内構成員(夫婦・親子)により構成される「家族」の意思決定をミクロ的基礎とした新しいモデルをミクロ的基礎とした新しいマクロ経済学モデルの構築をおこない、経済財政政策を検討している。 本研究の次年度にあたる平成30年度は初年度のサーベイをもとに「家族の意思決定」の基礎研究として、今日の家族の経済学において主流となっている「コレクティブモデル」に家計内バーゲニングを用いた新しい家族の経済学の基礎モデルの構築をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に実施したリサーチ、文献研究により家計の経済学に関するベースとなるモデルを構築することができた。また同研究内容をシェアし、研究の更なる方向性について議論を重ね、応用研究への道筋をつけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究の潮流をふまえ、より現実の社会を描写できる基礎となるモデルを家族をミクロ的基礎とすることにより理論モデルの構築を行う。基礎モデルが完成したら、家計内バーゲニングパワーが女性の労働参加、出生率を通じて経済成長にどのような影響をあたえるのかを分析してゆく。 モデルが完成できたならば、その段階に応じて成果をセミナーおよび国際学会において発表し、モデルの精度を高めてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文校正費として計上していたが、投稿雑誌の査読に時間を要したため今年度計上の英文校正が間にあわず次年度使用として繰り越すことになった。
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