研究課題/領域番号 |
17K03683
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢野 剛 京都大学, 経済学研究科, 教授 (90314830)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イノベーション投資 / 資金源 / 制度の質 |
研究実績の概要 |
平成29年度には、企業によるイノベーション投資を有効にファイナンスする金融仲介経路のパイロット的計量分析及び現地調査、及びイノベーションの効率性問題の探求のための現地調査を行った。 1)企業によるイノベーション投資の資金源となりうるものとして、内部資金・エクイティファイナンス・銀行融資・企業間信用の重要性を、制度の質を分析枠組みに入れないかたちで、上記資金源変数を独立変数としたイノベーション投資関数を推定し各変数の係数推定値の統計的有意性と経済的インパクトにより考察を行った。大きさをみることより比較を行う。その結果、この枠組みでは、イノベーション投資であるR&D投資・無形資産投資(広義のイノベーション用資産への投資)は、直接的には内部資金、間接的には企業間信用によるファイナンスに依存する傾向があることが分かった。 2)上記1)の作業と平行して中国現地での企業調査を行った。聞き取りのポイントは、イノベーション投資をファイナンスする各資金源の重要性とその重要性の高低の理由である。その回答が企業を取り巻く制度の質に強く影響されている可能性があるため、制度の質の地域間での差異に注目した調査を行った。その結果、腐敗の抑制といった所有権保護・契約履行強制の可能性が各資金源の重要性に影響を与えていることが示唆された。その結果、また同時に、各種のイノベーション投資がどのようなイノベーションのアウトプット(新製品開発、製造コスト削減、特許取得)を生み出しているか、それを可能にする条件は何かについての聞き取りも質問事項に加え、イノベーションの効率性問題の探求に取り組む準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
企業調査の現地協力者の都合により、中国現地調査の期間が予定よりもやや短縮されたものの、予定していた調査項目については概ね聞き取りを行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
調査における現地協力者と十分に連絡をとりあい、企業調査を予定どおり進めつつ、計量分析を本格的な段階で展開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
企業調査の現地協力者の都合により、調査期間が短縮されたため次年度使用額が生じた。企業調査の拡充と収集予定データの拡大による使用を計画している。
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