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2020 年度 実施状況報告書

金融包摂と国際送金の連関性と貧困削減効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03687
研究機関神戸大学

研究代表者

井上 武  神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (20450546)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード金融包摂 / 国際送金 / 金融発展 / 開発金融
研究実績の概要

2020年度は、本研究課題について、1)和文単著の出版を行い研究の取りまとめを行うとともに、2)デジタル金融包摂という新しい課題の検討を行った。1)和文単著については、2020年10月に『インドの金融発展』というタイトルで刊行された。この書籍では、発展途上国の中でも政策当局が一早く金融包摂を開始し、また国際送金でも世界最大の流入国であるインドに焦点を当て、同国の金融包摂がこれまでどのように進展してきたのかについて銀行部門を中心に考察を行っている。こうした金融包摂の歴史的経緯の検証とともに、データを通じて銀行部門の健全性や収益性を定量的に分析し、さらに同国における金融包摂の貧困削減効果に関する分析結果をまとめた書籍はこれまで和書のみならず、洋書でも刊行されておらず、この点で独自性の高い内容となっている。2)の新しい研究課題については、1)の和書の作成やその他の関連する研究を踏まえて、金融包摂における新しい潮流を反映した分析を捉えたものとなっている。金融包摂は基本的な金融サービスへの人々のアクセスや利便性を高めることを主要な目的としているが、これを実現するためには人々へのアクセスポイントをいかに増やすかが鍵となる。これまで途上国では物理的なアクセスポイントを増加させるために、商業銀行の支店やATMの数、そしてマイクロファイナンス機関の数を増加させることに政策的な軸足が置かれてきた。しかし、近年、スマートフォンなどのデジタルデバイスの普及により、物理的な金融アクセスからデジタルデバイスを活用した金融包摂の進展が図られる国も出てきており、物理的な設備とデジタルデバイスは相互補完的な関係を構築しつつある。本研究課題ではこれまで主に物理的な金融包摂の促進のみを取り扱ってきたが、新しい潮流を捉えるために、デジタル金融包摂に関する萌芽的な研究を開始している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究成果として、和文単著1冊を刊行した。しかし、2020年度に予定していた海外での成果報告が新型コロナウイルスの感染症拡大のため中止となった。このため、本研究課題を1年延長し、2021年度に再び成果の普及を図ることを計画している。

今後の研究の推進方策

2021年度は本研究課題について海外での研究成果の報告を行い、成果普及に努めたいと考えている。具体的には、2021年度後半に国際学会に出席し、本研究課題に関する報告を行うことを計画している。

次年度使用額が生じた理由

2020年8月にシンガポールで本研究課題について成果普及を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大により同国での成果普及の機会が延期になり、その結果、当該助成金が発生した。2022年3月に、同国で本研究課題に関する国際会議が開催される予定であるため、実施可能な形で出席し、海外での成果普及を行うことを現在計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 図書 (1件)

  • [図書] インドの金融発展2020

    • 著者名/発表者名
      井上 武
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      晃洋書房
    • ISBN
      978-4771033863

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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