研究課題/領域番号 |
17K03690
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
太田 勝憲 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (60403218)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 繰り返しゲーム / 非関税障壁 / 国際協定 |
研究実績の概要 |
今年度は、本格的にモデルを解く作業に着手した。インセンティブ条件の制約の下で、セーフガード発動の確率とセーフガード延長の確率を変数として不完全観測に起因する効率性の損失を最小化する制約付き最適化問題を解くことで、最適なセーフガード戦略の設計ができることが分かった。しかしながら、解の特徴づけがまだ完成していない。特に、制約条件であるインセンティブ条件の性質が分からず、制約付き最適化問題として、最適セーフガード戦略の設計問題を解けるか不明である。 そこで、簡略化した2国2財の貿易政策モデルを作ることを検討した。具体的には、観測可能な関税水準は連続変数としたままで、連続変数としていた非関税障壁のレベルを2値(High と Low)にした簡易モデルを利用して、平時にLowレベルの非関税障壁を維持するセーフガード戦略を考察し、最適なセーフガード戦略の設計とその戦略が均衡になるための十分条件の検討を始めた。 また、メインの研究が行き詰まっているので、派生的な別の研究も開始した。繰り返しゲームを用いた貿易政策の応用として、環境問題や難民救済に関する国際協定の繰り返しゲームを使った研究も行なった。具体的には、完全観測モデルを利用して、排出量削減や、難民受け入れの国家間の負担をどのように分けるかという問題を考察した。特に、協定を繰り返しゲームの均衡として表現し、どのような負担の分け方にすると、協定が均衡になるための割引因子の下限が最小になるか分析を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メインの非関税障壁に関する研究が未完成であるため。
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今後の研究の推進方策 |
非関税障壁に関する貿易政策の研究は、簡易モデルの分析からどこまで一般化できるか検討し、難しいようであれば、セーフガードの正当化という本質を伝えられる簡易モデルで論文を完成させる。その他の派生研究についても、残りの1年間で完成させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果があまり出なかったことと、家庭の事情(4人の子育て)などあり、出張が思い通りにできなかったため。 次年度は、共同研究のための海外出張と国際学会への参加のための旅費を中心に支出を計画している。また、論文の英語添削などの研究成果を出すための支出も計画している。
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