本研究の目的は、整合性のあるマクロ・データベースを構築した上で、中国の株価とマクロ経済の関係について分析し、金融政策が株価に影響を及ぼす伝播経路を明らかにし、さらに、グローバル化時代における中国と外国との株式市場間の連動性を考察することである。世界金融危機が中国のマクロ経済に及ぼした影響も探り、株式市場の構造変化の可能性を検証する。 本研究は中国株価、マクロ経済と金融政策に関するデータベースを構築し、構築されたデータベースを利用し、中国株価のマクロ経済・金融政策との関係及び国際株式市場との連関に関する実証研究を行った。具体的には、以下のとおりである。 まず、1990年からの株式市場の関連データ、金融変数、マクロ経済変数、具体的には、株価指数、上場銘柄数、株式時価総額、M0、M1、M2、1年物の預金金利と貸出金利、消費、投資、政府支出、純輸出(輸出-輸入)、物価などの年次・四半期・月次・日次(株価指数のみ)データなどを収集し、データベースを構築した。 そして、構築されたデータベースを利用し、マクロ経済変数、株価と金融変数間のグレンジャー因果性テスト、VAR 分析などを行い、マクロ経済の構造変化を検証した。中国の株価変動の原因を明らかにし、株価変動に対する実体経済と金融政策の効果を分析した。また、中国のマクロ経済と金融についてさらに考察するため、中国の金融成長と経済発展についても分析した。分析結果に基づき、中国のマクロ経済と株式市場の関係について総合的に分析し、有効な金融政策を考察した。 さらに、グローバル化した中国経済の側面を考察するため、EGARCHモデルを利用し、中国の株式市場と世界主要市場の連動性を考察し、金融危機が中国の株式市場、世界株価の連関に与える影響について分析した。
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