研究課題
本研究の目的は、先行き不透明な現代社会の中でいかにして自覚的にキャリアを形成できるかという問題意識から、キャリア選択の多様化・曖昧化に伴う若年者における「とりあえず志向」の概念を構築・検討し、多義的曖昧性の見地から初期キャリア形成の在り方を定量的に探究した。とりわけ、新規学卒時点における「正規雇用(正社員)」「非正規雇用(フリーター)」という旧来の二区分ではなく、「とりあえず」「なんとなく」等という曖昧かつ不明確な進路・目的意識に着目し、従来、看過されがちであった曖昧性への対処の違いが職業キャリア意識に及ぼす影響や具体的なキャリア選択過程、さらには曖昧な入社動機の若手社員への雇用管理の在り方を論考した。実証分析の結果、「とりあえず志向」に基づく柔軟な発想が、自己回顧の機会を提供し、行動・実践を誘発する可能性を高めることを体系的に示唆された。実際、「やりたいこと」が見出せそうにないという悲観的な意識で進路未決定や非正規雇用の状態にある若年者に対する雇用促進施策が十分に機能していない状況にあった。進路・目的意識が不明確であるため就労支援の対象から漏れがちであった層を射程に入れた本研究で得られた知見は、キャリア選択の問題と社会との接続の在り方を議論するための手がかりを提示することに繋がり、このことは就職困難や不安定状況の継続を個人の問題としてのみならず、社会的問題として具体的な対応策を考える契機になるだろう。
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