研究課題/領域番号 |
17K03712
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
石川 利治 中央大学, 経済研究所, 客員研究員 (80266262)
|
研究分担者 |
松本 昭夫 中央大学, 経済研究所, 客員研究員 (50149473)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 都市体系経済 / 地域関係経済 / 土地密着型集積経済 / 連携型集積経済 / カオス的現象 / 工業団地 / 地域類型化 |
研究実績の概要 |
2023年度は都市体系経済と地域関係経済の2つの指標を用いて日本の47都道府県を4分類する研究方法とその成果の検証および応用分析を行った。検証分析から次の成果を得た。上記2つ連携経済を多く得られる地域(A象限)には広域地域において中心的役割を果たす都府県が含まれる。宮城、東京、新潟、愛知、大阪、広島、福岡、沖縄が入る。都市体系経済のみを多く得られる地域(B象限)には東京と大阪に隣接する、神奈川や兵庫など12県が入る。2つの連携経済がともに少ない地域(C象限)には大都市圏の外周部にある、福島や山口など11県が入る。地域関係経済のみを多く得られる地域(D象限)には東京から最も空間経済的に遠方の県が入る。石川、島根、鹿児島、岩手など9県が含まれる。各県の位置に関して空間経済的規則性が明示される。 各象限の経済的特徴も明白にできる。工場規模をみるとA象限で工場規模は最も小さくC象限で最大である。Theil指標で製造出荷額を分析すると、県内の出荷額格差はC象限で最大であり、県間格差はA象限で最大になる。B象限とD象限ではAとC象限の値の中間になり、ほぼ同値になる。これらの検証結果は都市体系経済と地域関係経済の指標を用いた研究方法の有用性を示す。次に地域間経済指標で極めて高い値を示している石川県における代表的な5種類の生産機械製造業を見ると、4業種の出荷額が上位を占め、技術中心的工業集積を地方で形成していることが窺われる。この事例は地域経済活性化策に重要な示唆を示す。 土地密着型集積経済と連携型集積経済が地域の工業生産を担う工業団地に大きく影響をしていることを明らかにする分析は集積経済の相互作用分析と工業団地立地の動学的分析からなされてきた。上記の検証と応用分析は本研究においての方法と手法の有効性を示し、その成果は今後の地域活性化政策に需要な示唆を提供できることを示している。
|