研究課題/領域番号 |
17K03714
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
林 光洋 中央大学, 経済学部, 教授 (80367672)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域内格差 / 地域間格差 / タイル指標 / 教育の差 / 社会階層の差 |
研究実績の概要 |
2017年度は、インドの家計支出の空間的な格差を、同国の家計調査データ(NSS:National Sample Survey)を用いて分析した。 その結果、インド全体の家計消費支出の格差水準は上昇していることがわかった。インドの地域格差は、地域内(都市・農村内)格差のほうが地域間(都市・農村間)格差よりも大きかったものの、後者も目立つようになってきた。都市・農村内格差の要因をさぐるため、世帯主の学歴で消費支出の格差を要因分解したところ、都市部でも、農村部でも、学歴内で生じる消費支出格差のほうが学歴間で生じる格差よりも大きかった。特に、都市部では、高学歴者グループ内の消費支出格差が顕著であった。しかし、同時に、都市部における学歴間で発生する格差も目立つようになってきた。 Blinder-Oaxaca手法を使い、世帯の属性で、都市・農村間の1人当たり平均消費支出の格差を要因分解した結果、格差に大きな影響を与えている要因は教育(世帯主の教育年数)であり、格差全体の55%前後を説明していることがわかった。加えて、社会階層および就業部門も、都市・農村間の家計消費支出格差に影響を与える要因であるということが明らかになった。 それらを「インドにおける家計消費支出の地域格差:その実態と要因」にまとめ、2017年、『世界から見た中国経済の転換』(中央大学出版部)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定した研究時間を確保できず、若干遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、研究時間を確保し、前述のインドの論文をさらに発展させたい。地域間格差と地域内格差について、また、都市部および農村部それぞれにおけるグループ間格差とグループ内格差について、Elbersのmaximum between-group inequality の計算方法を用いて、格差要因を分析し、英語論文として発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度は、研究時間が十分になく、現地調査を実施できなかった。2018年度は、研究対象国における現地調査を計画しており、そのための旅費等を支出する予定である。
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