研究課題/領域番号 |
17K03716
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
滝澤 美帆 東洋大学, 経済学部, 教授 (50509247)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | IT / 無形資産 / 生産性 / 労働生産性 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
無形資産に関する研究では、「親会社からの広義の資源移転」が海外現法の生産活動へ与える影響を分析するために、当該親会社の保有する無形資産(ソフトウェア、ブランド、研究開発)を計測し、その多寡が海外現法の生産活動にどのような貢献を果たしているのかを分析した。また、無形資産と外部資金手段の選択の関係を分析した。具体的には、有形・無形資産の比率に関する企業の資産構造や企業属性が銀行借入、社債発行、株式発行に与える影響を分析し、資金調達後の企業の投資行動についても資金調達手段別に分析した。以上の研究成果は、経済産業研究所のディスカッションペーパーとして公表した。ITに関する研究では、国際IT財団のアンケートデータを用いて、IT投資の決定要因とその効果に関する実証分析を行った。得られた結果は、IT 投資が現状では不十分と考えられる企業において、CIO の設置や専任セクションの存在(組織資本)、IT 人材の確保(人的資本)といった補完的資産の存在が IT 投資水準の将来見通しと正の相関を有していることが分かった。また、既に一定程度の IT 投資を行っている企業において、こうした無形資産の有無が IT 投資の効果の発現と正の相関を有することも確認された。研究成果は、日本生産性本部の生産性レポートとして公表した。 成長力や生産性に関する研究として、財務省の「イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会」の委員を務め、日本の生産性の現状、生産性向上に向けた取り組みについて報告書をまとめた。また日米の労働生産性水準を産業別で比較し、対個人サービス業について質を考慮した生産性水準も公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は無形資産、IT、及び生産性関連で、レポートや報告書、ディスカッションペーパーを数多く公表した。また、それらの研究成果を学会でも報告し、おおむね研究計画通り、研究は進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ITについては、情報処理実態調査といった個票データを申請し、ITと生産性に関する研究を進める。無形資産については、スマートワーク経営研究会の委員を務めていることから、企業の働き方に関するアンケートデータを使った無形資産と生産性などのパフォーマンス予測に関する研究も実施する予定である。 研究計画にも示した顧客満足度と無形資産、生産性に関する分析は、現在データを入手し分析中で、今年度中の研究成果の公表を予定している。 マクロ及び産業レベルの研究では、ITと雇用に関する研究や、日米以外の国々との産業別労働生産性水準の国際比較などを行い、成長力強化に向けた政策提言を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年6月にボストンにて開催される国際学会に参加が決定し、航空券を早期に購入する必要があったため、前倒し支払い請求を行った。
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