研究課題/領域番号 |
17K03717
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研究機関 | 二松學舍大學 |
研究代表者 |
咲川 可央子 二松學舍大學, 国際政治経済学部, 准教授 (60634350)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 付加価値貿易 / メキシコ / グローバル・バリュー・チェーン / 国際産業連関表 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、「グローバル・バリュー・チェーンにおけるメキシコの役割:付加価値貿易分析」をテーマに、平成29年度に引き続き「付加価値貿易についての既存研究のサーベイ」「データの整備」を拡張した上で、「海外の専門家との意見交換」「国内の専門家との意見交換」を行った。 「既存研究のサーベイ」については、特にJohnson and Noguera(2017)を見つけたことが進展であった。彼らによると、近年の付加価値貿易比率の低下傾向は、部門や国・貿易相手国によって異なることを示している。彼らの指摘した要因は、まさにメキシコに当てはまる要因であり、今後の研究に重要な示唆がある。 「データの整備」については、国際産業連関表のデータを整理する前に、メキシコの品目別輸出入、国別輸出入、品目別FDI流入、国別FDI流入を整理し、メキシコの比較優位や貿易構造、他国との貿易関係の変遷を明らかにすることから開始した。比較的容易にデータを入手できる1990年代以降のみならず、できるだけ長期間の変遷を明らかにすることを心がけた。紙ベースでしか存在しない時期のデータの整理や、時系列で項目をそろえるのが困難なデータも多く、煩雑な作業であった。日本語だけでなくスペイン語も習得している学生アルバイトを臨時的に雇用し、データの入力・整理作業に協力してもらった。 「海外の専門家との意見交換」については、7月にメキシコで大統領選挙が行われ、政治、治安上の混乱が予想されたこともあり、平成30年度のメキシコ出張は断念した。しかし、来日したメキシコ人研究者との日本での直接の研究交流や、ITを通じた交流は行った。 「日本の専門家との意見交換」については、特に有意義な研究交流ができた。日本国際経済学会を通じて知り合った付加価値貿易及び国際産業連関表についての専門家達とは、貴重な意見交換ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は概ね順調に進展している。特に、「日本の専門家との意見交換」について飛躍的な進展があった。第一に、研究の途中経過を研究会で報告し、研究者達から内容についてするどい意見をいただいた。第二に、特に付加価値貿易及び国際産業連関分析が専門の研究者と意見交換を行うことができたことは、本研究を深める上で非常に貴重な研究交流となった。知り合った研究者から専門家を紹介してもらい、研究ネットワークがさらに広がった。特に、国際産業連関分析という特殊な領域の専門家との交流により、国際産業連関分析を取り扱う際の注意点を改めて認識することができた。 「計量分析」にいたるまでのデータ整理は地道で膨大な作業であるが、正確な分析を行うために綿密に行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、引き続き、地道かつ膨大な「データ整備」を行い、正確な「計量分析」へとつなげる予定である。「現地調査」については、昨年のメキシコ大統領選挙後の政治・治安上の混乱も落ち着いていることから、計画していきたい。「国内の専門家との意見交換」「既存研究のサーベイ」は随時行う予定である。令和元年度には、秋にメキシコで国際学会が開催されるので、発表する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度は、海外出張も行う計画であり、それなりの金額が必要になることが予想される。また、正確な計量分析を行うためには高性能なパソコン及びソフトが必要になる。そうした金額を補うためには、この程度の金額は必要となるため、使用計画に問題は生じないと考えられる。
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