研究課題/領域番号 |
17K03722
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
中田 勇人 明星大学, 経済学部, 准教授 (10366916)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エネルギー価格 / 為替レート / 輸出 / 株価 / 地域経済 |
研究実績の概要 |
本年度は第一に、研究協力者の祝迫得夫氏(一橋大学)と為替レートとエネルギー価格が日本の輸出変動に与える影響を分析した論文を執筆し、Journal of The Japanese and International Economiesで公刊された。この論文では為替レートショックが1980年代の輸出変動を説明する上で重要である一方、1990年代以降はグローバルな需要ショックの影響が支配的になり、2000年代ではエネルギー価格のショックも日本の輸出に影響を与えていることが示された。 第二にVu Tuan Khai氏(法政大学)とASEAN諸国においてエネルギー価格のショックが各国経済に与える影響と、為替レート制度・金融政策ルールとの関連と分析した論文を執筆し、Journal of Asian Economicsで公刊された。この論文ではASEAN諸国でのエネルギー価格の物価・生産への影響が石油輸出国、輸入国のいずれであるか、また採用している為替レート制度・金融政策ルールによって異なることが示された。 第三に研究協力者の祝迫得夫氏(一橋大学)と青野幸平氏(立命館大学)と為替レートとエネルギー価格のショックが日本の株式市場に与える影響について産業別ポートフォリオのデータを使用した分析を行い、産業間の異質性が存在する事を示した。 第四にVu Tuan Khai氏(法政大学)とエネルギー価格が日本の各地域の物価・生産に与える影響を分析し、その結果を国際学会で報告した。この中で、各地域の気候、産業構造などの特性が影響の違いと関係していることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
為替レートとエネルギー価格が日本の輸出に与える影響の研究、ASEAN諸国に対してエネルギー価格ショックが与える影響の研究については成果を国際学術誌で公刊することができた。為替レートとエネルギー価格の株式市場への影響についての研究も、中間的な成果を学会で報告するなど、ほぼ計画通りに進んでいる。また、日本の地域経済についての研究でも中間的な成果を学会で報告することができた。 残りの研究課題である構造変化の検証、経済政策リスクの影響についても実証手法の検討、データの収集を進めているが、ディスカッションペーパーや学会報告に至っておらず、より積極的に作業を推進する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
為替レートとエネルギー価格が日本経済に与える影響を構造VARで分析する研究において構造変化を検証する課題についてはデータの特性に適した統計手法を適用し、構造変化の有無と発生時点を特定する。株式市場の研究については、前年度の学会報告での指摘を反映し、分析手法の改善とデータの拡張を検討する。日本の地域経済についての研究では、現在進めている都道府県レベルのデータに対してPanel-VARを使った分析を完成し本年度中に学会報告を行う。他のテーマについても本年度中に研究成果をディスカッションペーパーにまとめると共に内外の学会で報告を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は主にノートパソコンの購入が予定より遅れたために生じた。そのため、次年度の早い段階でノートパソコンの購入等に使用する予定である。他の項目については予定通り、支出をする予定である。
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