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2018 年度 実施状況報告書

公共インフラの戦略的貿易政策と経済発展の研究及びその東アジアにおける意味の考察

研究課題

研究課題/領域番号 17K03730
研究機関愛知学院大学

研究代表者

多和田 眞  愛知学院大学, 経済学部, 教授 (10137028)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードインフラストラクチャー / 国際分業 / 経済発展
研究実績の概要

昨年度(本研究課題の初年度)に行った本研究課題に関するこれまでのこの研究領域のサーベイの作業の過程で、これまでの研究で見過ごされていた論点をつめて体系的な整理をおこなった。その内容は以下の通りである。公共インフラは環境創出型と要素報酬不払型の二つに大別されるが、これまでそれらを個別に扱ってきており、この両者の間での経済に与える結果の違いとこうした公共インフラのタイプの違いとの因果関係を明確に論じていなかったため、これを明確にして、その上で小国経済の場合において国際貿易のパターンと貿易利益に関するより説得的な議論を行った。
さらに本研究課題の目的である発展途上国とインフラの関係を国際貿易の観点から分析するという課題に取り組んだ。これは世代重複モデルを用いて、2国1要素3生産部門のモデルを考えて、2国は貯蓄率の高い先進国と貯蓄率の低い途上国、生産要素は労働、生産部門は投資財、消費財、公共財の生産部門とした。公共財は他の2部門の生産に用られるものとするが、蓄積することは出来ないと仮定する。また環境創出型の公共インフラとして、2部門に同じような生産効果を与えるものとして、公共財の供給は外生的に与える。両国の違いはこの外生的な供給量の違いで特徴付ける。このモデルの分析によって、以下のような結果を得た。貿易の開始によって先進国では資本蓄積が加速するが、途上国では減退する。その結果、国際貿易によって先進国は利益を得る。途上国は必ずしも貿易利益を享受できるとは限らない。公共インフラの存在しない場合には両国共貿易利益を享受できるが、公共インフラの存在によって、生産に外部経済が発生することで従来と異なる結果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで本研究課題の関連の分野のサーベイとそれによって見過ごされていた点を補充して、これまでの研究の整理を行い、さらに発展途上国の経済発展と公共インフラの関係を国際貿易の観点から論じてきた。またその際の分析を動学的な視点、資本蓄積の可能な経済という視点を取り入れて分析を行った。当初の課題全体の半分ほどを順調に達成して来ている。

今後の研究の推進方策

本年度は最終年度に当たるため、公共インフラが貿易可能なケースを考え、先進国が政策的にそれを途上国に供給するような場合の分析を目的としたい。見通しとしては、例えばハリス=トダロ型の途上国モデル、あるいはそれに類似した途上国モデルを考えて、政策変数として公共インフラを導入した分析を行うことを考える。こうした分析を踏まえて、中国、日本の公共インフラのアジアを中心とする途上国への輸出戦略を最終的に論じていくことを目標とする。

次年度使用額が生じた理由

共同研究のために招聘を予定していた海外の研究者がスケジュールの都合上で来られなかったために、次年度に改めて招聘を予定する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] International trade and capital accumulation in an overlapping generations model with a public intermediate good2019

    • 著者名/発表者名
      Shinozaki Tsuyoshi、Tawada Makoto、Yanagihara Mitsuyoshi
    • 雑誌名

      Review of International Economics

      巻: 27 ページ: 765~785

    • DOI

      10.1111/roie.12396

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 公共中間財のある場合の生産可能性フロンティアと小国の貿易2019

    • 著者名/発表者名
      多和田眞、柳瀬明彦
    • 雑誌名

      近藤健児、寶多康弘、須賀宣仁編「国際貿易理論の現代的諸問題」中京大学経済研究所

      巻: - ページ: 3-15

  • [雑誌論文] Domestic Income Transfer in an Open Dual Economy2018

    • 著者名/発表者名
      Tawada Makoto、Qi Ling
    • 雑誌名

      Recent Developments in Normative Trade Theory and Welfare Economics, ed.by B.Tran-Nam, M.Tawada and M.Okawa, Springer

      巻: - ページ: 177~189

    • DOI

      10.1007/978-981-10-8615-1_12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Geometric Proof of Complete Specialization in a Three-by-Three Ricardian World Economy2018

    • 著者名/発表者名
      Tawada Makoto、Ogawa Takeshi
    • 雑誌名

      Recent Developments in Normative Trade Theory and Welfare Economics, ed.by B.Tran-Nam, M.Tawada and M.Okawa, Springer

      巻: - ページ: 211~217

    • DOI

      10.1007/978-981-10-8615-1_14

    • 査読あり
  • [学会発表] Domestic Income Transfer in an Open Dual Economy2018

    • 著者名/発表者名
      Makoto Tawada
    • 学会等名
      12th World Congress of the RSAI
    • 国際学会
  • [図書] Recent Developments in Normative Trade Theory and Welfare Economics2018

    • 著者名/発表者名
      Binh Tran-Nam, Makoto Tawada, Masayuki Okawa
    • 総ページ数
      221
    • 出版者
      Springer
  • [図書] 国際貿易 モデル構築から応用へ2018

    • 著者名/発表者名
      多和田眞、柳瀬明彦
    • 総ページ数
      345
    • 出版者
      名古屋大学出版会

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公開日: 2019-12-27  

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