研究課題/領域番号 |
17K03731
|
研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
蔡 大鵬 南山大学, 経済学部, 准教授 (20402381)
|
研究分担者 |
太田代 幸雄 南山大学, 経済学部, 准教授 (30313969)
小川 光 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (10313967)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ネガティブショック / 企業行動 / 公的支援 / 産業政策 / 開放経済 / 珠江デルタ / 長江デルタ / 国際的協調枠組み |
研究実績の概要 |
本研究は、突発的なネガティブショックと企業行動との関係について理論的に解明することにより、公的支援策のあるべき姿を提示することを目的としている。本研究では、ネガティブショックの影響を、非効率的な企業の退出による短期的な産業全体の生産性の改善と、競争の欠如による中長期的な社会厚生の低下の可能性の両面からとらえ、産業組織論等の分析手法を応用して動学的な理論モデルを構築する。その上で、①通時的社会厚生の最大化をもたらす公的支援策のあり方、②開放経済における最適な支援策と国際的協調枠組みのあり方、といった2つの関連するテーマの分析を通じて、突発的なネガティブショック発生時の、最適な公的支援策に関する新たな理論的知見及び政策的含意を導くと共に、日本経済復興の実現に理論的側面から貢献しようとするものである。 平成30年度には、今までの予備的研究成果を踏まえながら、企業への最適な公的支援策などに関する最新文献を検討するとともに、研究の精度を向上させつつ、産業規格(水平的産業規格および垂直的産業規格)の設定変更等の外部ショックに対処する最適な産業政策を分析する理論モデルを構築し、分析に努めた。また、平成31年3月に、LI Shenglan中山大学(中国広州)教授らを招へいし、ワークショップを開くと共に、中国広東・香港・マカオベイエリアにおける産業育成政策の現状等について報告してもらい、同地域の産業政策の現状や問題点の把握に努めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度では、計画の通り、ネガティブショックと企業行動に関する最新の文献を検討した。また、研究の精度を向上させつつ、これまでの予備的研究の成果および現地調査の結果を踏まえながら、従来の理論分析をさらに掘り下げ、産業規格の設定変更といった外部ショックに対処する最適な産業政策を分析する理論モデルを構築した上、分析に努めた。さらに、輸出の急減を経験している中国広東・香港・マカオベイエリア等について、現地の研究者に報告してもらい、現状や問題点の把握に努めた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成31年度では、本研究に関連する分野で優れた業績をあげている研究者や政策担当者を招へいして、セミナーを開催する。招へい研究者およびセミナー参加者との意見交換を通じて、研究の方向性・発展性について多面的に検討する予定である。なお、有能な研究協力者を見つけられず、計画が完成できないと考えられる。その対応として、研究会などの参加を通じて、今までの協力ネットワークをさらに広げる予定である。一方、研究が当初の計画どおりに進まない場合には、いずれかのテーマに集中して取り組むとともに、問題設定の再検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度中に実施する予定であった中山大学(中国広州)と曁南大学(中国広州)の研究者らとの研究打ち合わせ・現地共同調査は、先方の要請により、先方負担で行っていたので、本研究課題よる経費負担の必要がなくなったため次年度使用額が生じた。最終年度には、小規模な国際コンファレンスを開催し、得られた研究成果を報告し、評価・改善するためのコメントを受ける予定があるが、招へい者を増やす等で次年度使用額を使用したいと計画している。
|