研究実績の概要 |
本研究は、突発的なネガティブショックと企業行動との関係について理論的に解明することにより、公的支援策のあるべき姿を提示することを目的としている。ネガティブショックの影響を、非効率的な企業の退出による短期的な産業全体の生産性の改善と、競争の欠如による中長期的な社会厚生の低下の可能性の両面からとらえることを目指している。 令和2年度には、これまでの研究成果を踏まえながら、企業への最適な公的支援策などに関する最新文献を検討するとともに、交渉ゲームの分析手法を取り入れる理論モデルを構築して、公的支援の国際的協調枠組みの在り方について分析した。 また、費用を伴う環境規制の設定が企業間の競争に与える影響を分析する論文“Pollution for Sale: Firms’ Characteristics and Lobbying Outcome (Cai and Li, 2020)”を公刊した。この論文で用いたアプローチを、上記研究に応用することにより、分析の精度をさらにあげることができると考えられる。 上記以外は、中国の自動車産業等で見られる、出資の上限や合弁企業の強要といった外資出資規制がなぜ導入されているのかについて分析する論文“Why Do Mandated International Joint Ventures Still Exist? (Cai and Karasawa-Ohtashiro, 2020)”および、租税競争における内生的な資本供給の影響を分析する論文“Endogenous Capital Supply and Equilibrium Leadership in Tax Competition (Kawachi, Ogawa, and Susa, 2020)”等を公刊した。
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