研究課題/領域番号 |
17K03752
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
佐藤 幸人 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 上席主任調査研究員 (90450460)
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研究分担者 |
吉岡 英美 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (80404078)
安倍 誠 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 研究センター長 (90450478)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 半導体 / 半導体不足 / 米中対立 / TSMC |
研究実績の概要 |
2021年度は研究成果を一般向けに発信することが主な活動になった。その背景には、本研究が対象としている韓国・台湾の半導体産業に対する、以下のような関心の増大があった。 2020年に顕在化した米中対立及び世界的な半導体不足のなかで、韓国と台湾をはじめとする東アジアに世界の半導体生産が集中していることが注目されることになった。なかでもロジック半導体の生産は台湾のファウンドリが半分あまりを担っている。特にリーディングカンパニーのTSMC(台湾積体電路製造)は世界最先端の製造技術を持っていることから、線幅10ナノメートル未満の最先端分野の半導体をつくるためには、TSMCへの依存が避けられなくなっている。 このような状況を踏まえて、アメリカをはじめとする各国政府は、サプライチェーンの強化を掲げて、TSMCの誘致を活発に行うようになった。日本政府もTSMCの誘致のために多額の補助金を用意し、TSMCと交渉を行い、その結果、熊本に非先端分野の工場がTSMCとソニーらの合弁によって設立されることが決まった。こうした経緯から、日本の台湾半導体産業への関心はさらに高まることになった。 関心の高まりを受けて、本研究のメンバーである佐藤と伊藤信悟(研究協力者:国際経済研究所主席研究員)は多くの一般向けの講演を行い、これまでの研究成果の普及に努めた。本研究で得られた知見もそのなかで社会に還元することができた。 一方、本来の研究計画が思うように進行していないことも事実である。一昨年来の新たな動きや、講演に対するフィードバックを、研究のインプットとして取り込んでいきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
最も重要な原因は現地調査ができなかったことである。それは情報の収集に支障をきたしているだけではなく、研究のモメンタムを損なっている。 第2に、コロナ禍のもとでメンバーが直接、会って議論する機会が失われたことも、研究のモメンタムの減少をもたらしている。オンラインでも議論はできるが、直接、会って議論することと比べると、刺激が弱い。 第3に、台湾の半導体産業に注目が集まったことで、一般向けの講演に多くの時間を割くことになった。前述のとおり、講演ではフィードバックがあり、得るところもあったが、研究に充てる時間を減らす作用も持った。
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今後の研究の推進方策 |
改めて計画に戻していくことが基本である。まずは個別のケースの分析を行っていきたい。 同時に、一昨年来の半導体産業に対する関心の高まりの中で、新たに得られた気づきも少なくない。前述のように、一般向け講演に対するフィードバックもあった。それらを研究に取り込むとともに、研究の動機付けともしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、コロナ禍のため、韓国や台湾での現地調査を実施できなかったこと、またコロナ禍で直接、会って議論することができなかったことである。 次年度は、可能であれば、現地調査に使いたい。それができない場合は、資料購入や資料整理に充てたい。
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