研究課題/領域番号 |
17K03753
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
川上 桃子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究センター長 (30450480)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 東アジア / イノベーション / シリコンバレー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「イノベーションのアメリカ化」現象(米国をモデルとしたイノベーション政策の推進と知識の国際伝播)を引き起こしてきたアクター間関係を分析し、「米国型モデル」の広がりが東アジアのイノベーション、産業発展に与えるインパクトを明らかにすることにある。2020年度については、(1)当初の研究計画で事例に取り上げた医療機器の分析のための米国、台湾、シンガポールでの集中的なインタビュー調査の実施とそのとりまとめ、(2)2nd World Congress of Business History でのパネル報告の組織と報告、を予定していた。しかし、世界的なコロナウィルス感染拡大の影響により、(1)は実施できず、(2)は2021年度に開催延期となり、いずれも計画通りに進めることができなかった。代わりに、国内で進められる分析として、以下の研究を進めた。第一に、医療機器の事例をより広い文脈に位置づける目的から、米国と台湾の国際頭脳循環を通じたイノベーション・リンケージの形成に関する資料の分析や、関連文献のサーベイなどを行った。第二に、本研究を開始したのちに生起した、かつ本研究と関わりの深い重要な現象である米中ハイテク覇権競争に新たに着目し、これが東アジアのイノベーションのあり方に与える影響についての分析を進めた。具体的には、シリコンバレー・台湾間イノベーション・リンケージを代表する産業であるロジック半導体セクターについての分析を進め、台湾の同産業の発展が、米国・中国双方の磁場のもとにあること、なかでも米国との間に深いイノベーション・リンケージを築くなかで顕著な成長を遂げてきたことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度はコロナウィルス感染拡大の影響により、予定していた米国、台湾での集中的なインタビュー調査を行うことができなかった。研究発表を予定していた国際学会も開催延期となった。一方で、国内でも研究を進められる分析として米中ハイテク覇権競争に着目した研究にも着手しており、21年度は着実に研究を進められると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も引き続き世界的なコロナウィルス感染拡大の影響を受けることが想定されるため、現在まで集めた分析資料の活用、オンライン面談の実施等を通じて研究を進めていく。また、台湾の事例に絞ったかたちで成果をとりまとめることを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的なコロナウィルス感染拡大の影響により、予定していた現地調査、学会報告等が行えなかったため。
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