研究課題/領域番号 |
17K03754
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研究機関 | 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部) |
研究代表者 |
穆 尭芋 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部), 調査研究部, 研究主任 (00551417)
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研究分担者 |
南川 高範 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部), 調査研究部, 研究員 (20732415)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中国経済 / 地域政策 / 地域経済 / 一体化指数 / 開発経済 |
研究実績の概要 |
初年度は主に基礎的統計データの収集に力を入れており、一体化指数の構築に必要な基本的な情報を揃えた。国家統計年鑑や各地方の統計年鑑から省別のGRP、資産、消費、産業、貿易、外国投資などの経年データを整理し、中国地域経済の構造変化の分析に利用可能なデータファイルを構築した。次年度以降は、一体化の具体的な内容および指数の構成について各地域の実態を勘案しながら検討していきたい。 初年度は、中国各地域の貿易状況を分析し、国内の地域一体化による国際連携への影響を検討した。東部・中部・西部・東北部と北東アジア各国の貿易データから、地域経済一体化が進めば進むほど、地域間の経済関係における歴史的・文化的・地理的な接近性による比較優位が減退し、グローバルの中で国際分業に参入するための産業競争力の強さが決め手となることが分かった。この研究に関する成果は、当研究所発行の叢書の一部として出版する予定である。 研究交流では、中国地域経済研究会を4回開催したほか、吉林大学と黒龍江省社会科学院との国際研究集会を2回開いた。中国の都市化、地域インフラ、「一帯一路」、国際経済関係、中部と東北部の経済発展等様々な課題について議論を行い、地域一体化に関する総合的な理解を深めた。 また、地域一体化に関する理論的な検討や先進国における地域経済の実態について、英語を中心に外国の文献を収集したほか、計量的な手法や分析テクニックに関する理解も深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎的な統計データの収集がほぼ終わっており、一体化分析に必要な統計資料を揃えた。初年度の研究を通じて、一体化の内容に関する議論を深めてきており、次年度の一体化指数の構築に生かしたい。また、研究会や国際研究集会を通じて、積極的に研究交流活動をに行い、外国講師の招へいも含めて中国地域経済の実態や政策動向に対する理解を深めている。欧米の文献を通じて地域経済一体化に関する理論的、横断的なアプローチも行っている。
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今後の研究の推進方策 |
一体化指数の構築に必要な内容の検討をさらに深める。一体化指数の含意と対象範囲を明確にし、利用可能な統計データと照らし合わせて指標体系を確定し、地域別・分野別の一体化指数を計測する。一体化指数の結果について初歩的な解析を行い、集中・分散の視点から地域経済への影響を概観する。さらに、一体化のメカニズムを解明するには、生産要素の国内移動の自由度が高いとみられる米国の地域経済を検討し、中国の地域経済一体化の研究の参考にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は基礎的データの整理に多くの時間が取られており、旅費を発生する海外出張を控えた。また、吉林大学との国際研究集会は先方自前の経費で来日したため、その分節約できた。次年度の海外調査やデータ収集に活用したい。
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