研究課題/領域番号 |
17K03756
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長江 亮 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (80468876)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 労働経済学 / 向社会的行動 / 利他性 / 障害者雇用 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、どのような属性を持った企業が障害者を雇用しているのかを実証的に明らかにすることである。特に人事施策及びCEO の属性、CSRへの取り組みに着目する。日本の障害者雇用施策では、雇用した障害者を職種や職域、障害の程度によって1人を2人とカウントしたり、0.5人とカウントしたりしている。これまでに行われてきた経済学研究はこの点を含めた政府統計による分析である。従って、日本の障害者雇用施策が障害者に対する便益を考えたうえで議論するためには、障害者の実雇用者数を用いた分析が必要不可欠である。本研究ではこれにより、望ましい障害者雇用施策を議論するための量的な基盤の提供を試みる。
本年度は、CSR企業総覧に掲載されている人事施策及びCEOの属性、CSRへの取り組みに関するデータの中で、CEOの属性に関するデータに強く焦点を当てることにした。このため、取締役会の出自や構成などのデータを補足するべく、昨年度に行った一次的基礎分析のデータを再構築する作業を行った。この途中で、企業の実雇用率と実際の雇用障害者数には乖離があることを発見した。さらに、一定要件を満たしていれば多くの障害者を雇用している別会社を特例子会社として本社の雇用障害者数にカウントしてもよいとされる特例子会社制度が特に大企業の障害者雇用率の上昇に強く影響していることが明らかになった。
また、向社会的行動を生み出すのに必要となる利他性が関係してくる開発援助の決定要因を明らかにする研究に参加し、その論文を英文の査読付き雑誌に投稿して、revise and resubmitとなった。従って、現在はその研究論文の改訂作業に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症に伴い、教育面での大幅な負担増があるため。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、一次的基礎分析を終了させる。その後で、どのような属性を持つ企業が多くの障害者を雇用しているのかをSDGsや主に取締役会及びCEOによる向社会的行動と関連付けながら明らかにする
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症による混乱のため、社会のの状況が急変した。大学においても、特に教育面において、世界的規模でオンライン化が図られ、そちらの対応に追われていたために次年度使用額が発生した。現在でもコロナ感染症の影響は継続しているが、教育機関の状況は徐々に落ち着きつつある。このため、延期した分の研究施行の見通しが立ち、試用計画は当初計画のうち、試行できていない部分に使用する計画である。
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