令和元年度においては、同年2月に実施したインターネット調査のデータを用いた実証分析を進めた。その結果、加齢による認知能力低下に伴うリスク回避度増加が確認でき、また、認知能力、自信過剰の度合い、リスク回避度等の要因の家計の資産選択への影響等が明らかになった。これらの分析を含む最初の論文として、”The Effects of Numeracy and Risk Aversion on Portfolio Choice of the Aged and Their Implications on Capital Income Tax Policy on Japan”を執筆し、内外の学会で発表を行った。具体的には、海外では、International Conference on Public Economic TheoryおよびWorld Finance Banking Symposiumで報告を行い、国内では日本財政学会で報告を行った。どの学会においても、これまでの研究成果を報告することができたのに加え、討論者・参加者より貴重なコメントを得た。また、我が国の資産形成支援税制全般について論じた論文「資産形成支援税制について」を『租税研究』において発表した。また、資産形成と密接な関係を持つ相続税のあり方について、論文「少子高齢化社会における相続税制のあり方」を『個人金融』に掲載した。 バブルと税制についての論文についても、International Institute of Public Financeの年次総会について報告を行った。 日本企業の負債政策と税制に関しては、特に最近の日本企業の財務政策の特徴である過剰な内部留保の原因と影響についての研究の進行状況につき日本証券経済研究所における証券税制研究会で報告を行い、近いうちに論文にまとめることとしている。
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