上記のいずれの結果も,いわゆる「長期停滞経済」の下では公共投資を中心とした景気刺激策が有用であることを示唆するものである.この結果は,海外の著名な経済学者の見解を,筆者独自の分析からサポートするものである. 一方,いずれの研究も,ゼロ金利が常態化していない時になされた財政政策は必ずしも有効ではないとの結果が示されている.中には,雇用ないしは株式投資収益率にマイナスの効果を与えたとの結果も提示されている. 上記を踏まえるならば,長期停滞経済下では公共投資を中心に据えて景気刺激策を行う一方,一旦経済が長期停滞を脱したならばむしろ財政再建レジームに転換するような財政政策運営が要請されることが示唆される.
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