本研究では、効率性を計測することにより、事業者の新たな分類を開発することを目的としている。 2018年度では、前年度に引き続き水道事業のデータの収集と先行研究の調査を行った。また、事業者の分類とメタフロンティア分析を実施し、その成果を研究会で報告した。その内容は以下のとおりである。 水道事業者の置かれている水源などの非裁量要因が異なれば、異なった技術を持っていると考えられ、非裁量要因による分類を行う必要がある。また、分類したグループごとに効率性を計測するだけでなく、グループ間の効率性を比較することも非裁量要因の影響を調べるために必要である。そこで分析方法として、分類のためにクラスター分析、グループ間の効率性を比較のためにメタフロンティア分析を用いることにした。データとして、クラスター分析では「平成28年度 水道事業経営指標」(総務省)、「平成28年度 水道統計」(日本水道協会)から非裁量要因を入手した。メタフロンティア分析では「平成28年度 地方公営企業年鑑」(総務省)から入力と出力を入手した。クラスター分析を行った結果、給水人口と有収水量密度、水源の組み合わせにより8クラスターに分類できた。メタフロンティア分析の結果、各クラスターでの効率性の平均は0.5から0.8程度であることがわかった。また、Metatechnology Ratioは各クラスターの平均で0.5から0.9程度であった。給水人口と有収水量密度が低く、水源が主に受水であるクラスターの効率性とMetatechnology Ratioは低くなっていることが示された。
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