本研究では、効率性を計測することにより、事業者の新たな分類を開発することを目的としている。 そのため、2019年度においても2017年度、2018年度に引き続いて、水道事業についての計量分析を用いて分析を行っている文献の収集と整理、わが国の水道事業のデータの収集と整理を行った。 次に、2018年度の「地方公営企業決算状況調査」(総務省)における市町村および企業団による水道事業のデータを用いて、水道事業のグループ分けを試みた。分析手法としては主成分分析を用いた。主成分分析のために用いた変数は、年間総有収水量、導送配水管延長、職員数、補助金が収益に占める割合、給水人口、給水面積、取水能力に占める受水の割合、簡易水道事業の数である。分析の結果、Bartlettの球面性検定は有意であったため、主成分分析を適用する意味のあるデータであることが示された。主成分として固有値が1以上となる第2主成分までを採用した。第2主成分までの累積寄与率は66.5%であった。第1主成分は、年間総有収水量、導送配水管延長、職員数、給水人口、給水面積が大きな値を示していた。第2主成分は、補助金が収益に占める割合、簡易水道事業の数がプラスの大きな値、取水能力に占める受水の割合がマイナスに大きな値を示していた。 次にこれらの主成分得点を用いてクラスター分析を行った。その結果、5クラスターに分類できた。しかし、各クラスターに属する標本数に大きな違いが出てしまった。
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