研究課題/領域番号 |
17K03774
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
大野 裕之 東洋大学, 経済学部, 教授 (50285459)
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研究分担者 |
林田 実 北九州市立大学, 経済学部, 教授 (20198873)
安岡 匡也 関西学院大学, 経済学部, 教授 (90437434)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 証券税制 / 非課税制度 / 小額投資 |
研究実績の概要 |
本年度は、初年度の成果、すなわち『個人投資家の証券投資に関する意識調査』2014年版の個票データによる実証分析を踏まえ、分析を、同調査の2015年版、2016年版のデータを加えた多年度に拡張した。これは2014年調査が制度導入後数か月しかたっていない段階での調査であったため、投資家の理解が十分に進んでいなかった可能性があると判断したためである。3年間のデータをプールすることで、経年的な変化をピックアップすることで、制度の理解の深化とともに、投資家の意識や行動がどう変わったかを分析できると考えた。 分析の手法は多項ロジットモデルとその限界効果を引き続き使用した。分析に当たっては、2014年版と2015・2016年版で設問や選択肢が微妙に違うところがあり、それをどう一致させるかに注意を払いつつ行った。経年変化については、タイムトレンドを変数に加えた。 結果の概要は以下のとおりである。申し込みの有無については、2014年と同様の傾向が確認された一方、定数項トレンドはどの選択肢にも有意な影響を示し、時間とともに制度の理解や意見形成が進んだことを示した。利用目的に関しても、NISAは子供のためよりは、自分たちの老後のために利用されている傾向が、あらためて示された。口座開設後、実際に商品を購入するかは、2014年の分析とは異なり、多くの変数が有意な影響を示した。NISAを申し込まない理由、NISAの改善点については、定数項トレンドが各回答選択肢によく反応しており、一定の収斂があることが分かる。「非課税投資額が小さい」ことを、NISAを申込まない理由とする確率は、金融総資産の増加および株式保有で上昇していることは、富裕層投資家をNISAに取り込む意味では興味深い結果といえる。 これらの結果を2回、全国学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は2014年度調査、2年目は2015年・2016年調査を加えた多年度展開、3年目は2014年調査の投資未経験者調査を分析するとの大まかな計画をたてて進んできたが、ほぼその通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度中の研究結果に、2度の学会報告でもらったコメント、改善点を反映し、論文原稿ができあがっているので、可及的速やかに学術誌へ投稿する。現在、投稿先を探索中である。ついで、2014年度調査で行われている、投資未経験者対象のデータで同様の分析を行う(残念ながら、投資未経験者調査はその後は行われていない)。その成果は、秋の全国学会(日本応用経済学会を予定)で発表し、そこで得たコメントや改善点を反映した原稿を、年度内に学術誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の学内業務等で、研究打ち合わせの出張が予定外に少なくしか組めなかった。次年度は、そうしたことが生じないように早め早めに出張計画を立てることとする。
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