この研究では、日本とオーストラリアについて、職業教育がその後の雇用状況と収入に与える影響を比較した。両国の最新のパネルデータを用い、各人について、職業教育の前と後に関するダミー変数を作成し、就業、週35時間以上のフルタイム就業、失業および労働所得への効果を推定した。その結果、次のような結果が得られた。1)日本では、職業教育は男性の就業を促進し、女性の失業を抑制しているが、それ以外の効果はない。2)オーストラリアでは、職業教育は女性の就業およびフルタイム就業を促進し、失業を抑制するが、男性の就業状態には影響を及ぼしていない。3)労働所得への効果は、両国いずれにも有意に表れていない。
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