研究課題/領域番号 |
17K03787
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
井田 知也 近畿大学, 経済学部, 教授 (50315313)
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研究分担者 |
小野 宏 大分大学, 経済学部, 准教授 (30381023)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自治体間連携 / 都市の空間要素 / 地方歳出関数 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
人口減少社会の中で歳入増加が今後期待できない市町村財政には、歳出抑制を導く体制改革、具体的には、本研究が対象とする自治体の連携が求められている。しかし、自治体間連携を通じて財政の効率性を向上できるか否かは都市の空間要素に依存するが、既存研究ではそれが見過されている。本研究の目的は、同要素を含む前回の科研費基盤研究(C)[課題番号26512009]が導出した歳出関数に自治体間連携の要素を組込み、市町村データに基づくその推計から、財政効率性を高める自治体間連携を種類別・分野別・規模別に導出して、その経験が乏しい市町村に関連政策を立案する上での基礎資料を提供することにある。 他方、本研究は基礎分析、理論分析、実証分析、政策提言の各研究事業から構成される。各研究事業の中で、平成29年度は基礎分析と理論分析の一部を計画していた。具体的には、基礎分析としては、都市の空間要素に係る新指標の再構築、および歳出関数に反映する自治体間連携の要素を捉えるための調査、理論分析としては歳出関数の再構築を予定していた。まず、都市の空間要素に係る新指標の再構築の成果としては、Galster et al (2001 Hosing Debate Policy)などが示す都市空間の特性を基準にその指標を作成することができた。他方、歳出関数に反映する自治体間連携の要素を捉えるための調査の成果としては、消防サービスの事例に基づき自治体間連携の現状を示すことができた。さらに、歳出関数の再構築の成果としては、その基盤となる住民の公共サービスの消費量の定義式を、混雑効果を考慮した同様の先行研究を参考に検討することができた。このように平成29年度は基礎分析と理論分析を中心に研究を進めることができ、その研究成果の一部を、学術誌を通じて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、基礎分析としては都市の空間要素に係る新指標の再構築、および歳出関数に反映する自治体間連携の要素を捉えるための調査、理論分析としては歳出関数の再構築を予定していた。まず、都市の空間要素に係る新指標の再構築については、Galster et al (2001 Hosing Debate Policy)などが示す都市空間の特性を基準に、同指標を作成することができた。次に、歳出関数に反映する自治体間連携の要素を捉えるための調査については、現地調査は実施できなかったが、資料研究を通じて消防サービスの事例に基づき自治体間連携の現状を調査することができた。さらに、歳出関数の再構築については、その基盤となる住民の公共サービスの消費量の定義式を、混雑効果に係る同様の先行研究を参考に検討することができた。以上の追うな進捗状況から上記のような判断に至った。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた歳出関数に反映する自治体間連携の要素を捉えるための現地調査は難しい状況にある。今後もこの可能性は探るが、研究を進捗させるために代替策を計画している。具体的には、研究分担者が所属する大分大学で開催する研究会に、本課題に精通した複数の研究者を招聘して、間接的だがその現状を把握する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は本務校で想定外の役職就任に伴い、当初予定していた現地調査や海外出張を実施できなくなり、次年度使用額が発生した。海外出張は平成30年度以降に適時実施できると考えている。他方、現地調査については今後も可能性を探るが、代替策として平成30年度中に研究分担者が所属する大分大学で開催する研究会に、本課題に精通した研究者を招聘して間接的だがその調査を行う。
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