研究課題/領域番号 |
17K03792
|
研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
前田 正子 甲南大学, マネジメント創造学部, 教授 (20596192)
|
研究分担者 |
安藤 道人 立教大学, 経済学部, 准教授 (10749162)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 認可保育所 / 入所申請 / 待機児童 / 育児休業 / 入所基準 / 就労継続 / 家事・育児分担 / 抑うつ |
研究実績の概要 |
2020年度において、本研究は待機児童問題を抱える自治体における認可保育所への入所申請世帯に対する全数アンケート調査結果を用いて、1.どのような世帯が認可保育所に入所できているのか、2.保育所に入所できたか保留になったかの違いで、その後の保護者と子どもの状況にどのような違いが出るのかを分析した。どのような世帯が入所できたかを見ると、第一に、申請時に母親が常勤の就労者や育児休業中の場合には75%以上の入所率であるのに対して、母親がパート・アルバイト就労や自営業の場合には60%程度の入所率に留まっており、求職中の場合の入所率は40%程度であった。第二に、母親の所得水準と入所率の関係については、母親の申請時の所得が高くなるほど入所率は上昇するが、一定以上の高所得の場合の入所率はむしろ低くなっていた。第三に、入所申請への対応として、育児休業期間を希望よりも早めに切り上げた世帯は、申請時に母親が育児休業中の世帯では約37%存在した。この育児休業を早めに切り上げた世帯の入所率は約87%程度であった。 さらに入所できた世帯と保留世帯との間で、母親の就労状況や年収、回答者の抑うつ度、父親の家事・育児分担がどう異なるかを検証したところ、第一に、入所世帯の母親は、保留世帯の母親と比べて、常勤での就労割合が高く、就労日数・就労時間は長く、前年と比べた年収の伸びは高い傾向があった。第二に、入所世帯と保留世帯の回答者(ほとんどが母親)の抑うつ度を比較すると、入所世帯の回答者の抑うつ度のほうが低い傾向があった。第三に、父親の家事・育児分担をみると、入所か保留かよりも母親がフルタイム勤務かパートタイム勤務かのほうが重要な要因であることが伺われたものの、入所世帯であり、かつ母親がフルタイム勤務の場合には、父親が家事・育児を「よくする」と答えた割合がもっとも高かった。
|