研究実績の概要 |
平成29年度は以下の2つの研究テーマを柱として研究を進めた。 1.滑らかな曖昧性モデル(smooth ambiguity)において、曖昧性が意思決定者の最適投資行動にどのような影響を与えるかに関して分析を行った。risky assetとambiguous assetの二つの資産への投資選択問題において、曖昧性の存在が、ambiguous assetへの投資を減少させる十分条件を導出した。さらに、本研究によって、国際分散投資の問題において重要なパズルである、ホームバイアスパズルを部分的にであるが解消できることを示した。本研究は、現在、国際的学術誌に投稿・審査中である。平成29年度中に採択に至らなかったが、平成30年度中には採択されるよう、改訂に努める。 2.上記研究と同様に、Klibanoff et al. (2005, Econometrica)のモデルに基づき、曖昧性への態度が、意思決定者の投資行動にどのような影響を与えるかについて、分析を行った。従来のGillier (2011, Review of Economic Studies)と異なり、曖昧性が投資行動に与える効果は、確率優位(stochastic dominance)だけで決定されるわけではなく、投資関数が補完的か代替的かによって異なることを証明した。本研究は平成29年度に国際的学術誌に投稿したが、平成30年度には採択されるよう、改訂に努める。
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