本研究の目的は、日本の企業金融に係る制度変更が企業の資金調達やパフォーマンスに及ぼす影響について実証分析を行うことである。令和2年度は、第一に、銀行株式保有制限規制(鈴木健嗣、植杉威一郎との共著)に関する研究について、ワーキングペーパーを改訂し国際学術誌に投稿したが、不採択であった。第二に、金融円滑化法(大橋和彦、宮川大介、安田行宏との共著)に関する研究について、ワーキングペーパーの改訂作業を継続して行った。第三に、物的担保・経営者保証が起業に及ぼす影響(本庄裕司、鶴田大輔との共著)に関する研究について、ワーキングペーパーを改訂し国際学術誌と共催のコンファレンスに投稿した。 この他、本研究のテーマと直接関係するものではないが、家計の居住用不動産保有が金融資産選択に及ぼす影響について分析した論文(祝迫得夫、齋藤周、徳田秀信との共著)、企業の不動産担保のLTV比率や企業パフォーマンスと経済変動との関係を分析した論文(内田浩文、Gregory F. Udell、植杉威一郎との共著)が、国際学術誌に採択された。また、企業の研究開発マネジメントに関するサーベイ調査の概要を記述したワーキングペーパー(羽田尚子、池田雄哉、乾友彦との共著)を公表した。
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