研究課題/領域番号 |
17K03816
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
宮越 龍義 法政大学, 理工学部, 教授 (60166139)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ネットワーク理論 / 金融破綻連鎖モデル / グラフ理論 |
研究実績の概要 |
今年度は、 (i) ネットワーク理論の最短経路問題、ハミルトン閉路問題、最小全域木問題などの基本的問題の理解や、さらには、「センター設置問題」の理解を再確認した。その際に、グラフ理論・ネットワーク理論の専門家の助言を受けたが、助言は当初の計画より少なく、論文の精読に多大な時間をかけた。(ii)金融破綻連鎖モデルの理解を深めたのちに、金融センターを組み込んだ場合と組み込まない場合のモデルを構築した。(iii) これらの研究成果はまだ草稿の段階であり、論文報告には至っていないが、次年度の計画では、今年度の計画の不備と欠点を是正することから、次年度の学会でその成果報告を、日本経済学会(平成30年9月)や日本金融学会(平成30年10月 )、または、アメリカ西部経済学会WEAI(平成30年7月アメリカ)で予定している。他方、今年度の研究計画を遂行している際に、今後の研究手法に関する成果を発見した。それは、「Is Zero Population Growth Optimal in an Aging Economies? 」という表題の論文であり、 第1回フューチャー・デザイン・ワークショップにおいて報告した。Overlapping Generations Modelを使って、外生パラメータの最適成長率を求める枠組みを提案したものである。これはネットワークシステムの最適な発展を求める手法に役立つと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会報告・セミナー報告による出張が少なかったことから、個別研究者からのコメントや討論者からのコメントに基づく、専門的知識の提供を受ける機会が少なく、それに費やす科研費も十分には支出されていないが、Journal of Financial Stability, Journal of Economic Dynamics and Control, Journal of Banking and Finance などから関連論文を時間をかけて精読し独自に研究を続けたことから、おおむね、順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画に従い、(i) 29年度の金融破綻連鎖モデルの不備を訂正して改良する。 (ii) 動学的相関GARCH モデルを計算するプログラムを作成する。 (iii) Engle (2002,Jof B&E Statistics), Tsukuda,Shimada & Miyakoshi (2017,IR of Economics & Finance)のDCC-GARCH モデルを使い、各国の株価収益率データを用いて、市場間の相関係数を各年度について動学的に推定し、金融ネットワーク構造を解明する。 (iv) 金融ネットワーク構造の変遷の中で、線(相関係数)が長く、線が多く集まる金融センターを特定化する。特定化された金融センターへの線の長さ(相関係数または市場間の連結性)と国債格付(S&P やムーディズの国債格付けデータ)で評価した市場リスクの大きさとの因果性を検証する。これにより、どの国が金融センターにな った時にネットワーク全体の市場間の連結性が強まり、各市場のリスクが低下したかを考察できる。相関係数推定の代わりにMiniu&Reyes(2013,Jof Financial Stability)のように貸付金額を使った推定も行う。 (v) これらの研究成果を論文として取りまとめ、日本経済学会(平成30年9月)や日本金融学会(平成30年10月 )、または、アメリカ西部経済学会(平成30年7月アメリカ)などで報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
個別研究者のコメントや、学会報告における討論者からのコメントという、専門的知識の提供を受ける機会が少なく、それに費やす予定であった科研費は十分に支出されていない。しかし、次年度にはそのような機会がたくさんあるので多くの支出が見込まれる。
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