研究課題/領域番号 |
17K03823
|
研究機関 | 金沢星稜大学 |
研究代表者 |
木村 正信 金沢星稜大学, 経済学部, 教授 (50339983)
|
研究分担者 |
JOSHI Abhay 大東文化大学, 経済学部, 講師 (30587671)
西村 めぐみ 共立女子大学, 国際学部, 准教授 (20641286)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | マイクロファイナンス / インド |
研究実績の概要 |
当該年度においては、インドのマハラシュトラ州オーランガーバード地区でNGOが行っているマイクロファイナンスプログラムがその利用者(女性)に与えた経済効果を、傾向スコア法や回帰分析といった統計的手法を用いて分析した。今回の研究では被説明変数として女性の所得を採用したが、同じマイクロファイナンスプログラムを利用している女性のレンディンググループであっても、グループ間で大きな差が生じていたことを発見した。つまり、マイクロファイナンスプログラムの利用によって所得が増加した女性グループもあれば、それほど増加していない女性グループもあることがわかった。なぜグループによる所得差が生じているのか、その原因を調べるため、新たにアンケート項目として、女性グループ内部の状況、例えば、信頼、規範、ネットワークといったソーシャルキャピタル(社会関係資本)を計測するための項目を追加し、当該年度末に現地で研究分担者が実施した。 先行研究ではマイクロファイナンスのプログラム全体の平均的経済効果(所得や消費への効果)を分析している研究が多い中で、我々の研究ではマイクロファイナンスを利用しているグループにも注目し、そのグループ間で差異が生じていることを発見した点はそれなりに異議のあるものだったと考えられる。一般的にはマイクロファイナンスは貧困対策として効果があるとしている研究もあれば、効果がないあるいはマイナスとしている研究がある中で、実はグループ間で大きな格差がある、つまりマイクロファイナンスプログラム自体に成否の鍵があるのではなく、それをグループでどのように活用しているかが成功にとって重要であると示唆できたことは先行研究にあまり見られない大きな成果である。その成果はJournal of Food, Agriculture and Environmentに投稿され、2019年度の17巻2号に掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インドのNGOが行っているマイクロファイナンスが女性の貧困対策として有効に機能してるかを調査するという目的で採択され、採択からちょうど当該年度が2年目にあたる。研究期間はすでに全体のうち3分の2を経過しているが、現在の段階で、マイクロファイナンスが平均でみればそれなりの効果を発揮している点を発見し、さらに女性グループ間で効果に違いが生じている点までも明らかになったことから、研究は当初の予定通り、おおむね順調に推移していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度までで、NGOが提供しているマイクロファイナンスプログラムが平均でみればそれなりの効果を発揮している点を発見し、さらに女性グループ間で効果に違いが生じている点までも明らにした。今後は、当該年度に実施したアンケートおよびその集計結果を基に、さらなる研究を続ける。具体的には、まず、マイクロファイナンスプログラムの利用によって所得が増加した女性グループもあれば、それほど増加していない女性グループもあることがわかったが、なぜグループによる所得差が生じているのか、その原因を統計的に分析する。もう一つは数年にわたり現地でアンケートを実施してきたので、その経年的変化についても調べ、最終的研究成果をまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度は研究期間の最終年度にあたるため、その研究成果を報告するための旅費がかなり必要となる状況が想定され、その点を斟酌した結果である。よって、次年度は現地調査ではなく、これまでの成果をまとめ報告するための旅費等で使用する計画である。
|