研究課題/領域番号 |
17K03834
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐藤 秀樹 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (20452112)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 金融史 / 銀行規制史 / イギリス / フランス / 規制の多様性 / 規制の調和 / 欧州銀行同盟 |
研究実績の概要 |
欧州の銀行規制・監督政策の分断性と調和への政策形成プロセスについて研究を行った。国内及び海外での学会報告における原稿執筆と、参加者とのディスカッションを通して、論文に磨きをかけることができた。一方で今後、分析を深める課題もまた頂戴し、今年度の研究に活かしていければと思う。 第1に、2017年7月にイギリス・グラスゴー大学で開催された国際学会24th International Conference for Europeanists, Council for European Studiesにて発表を行った。欧州銀行規制・監督政策の国際的側面に焦点を絞り、政策の国際政治経済的なアプローチから分析した。第2に、2017年7月に独フランクフルトでECB(欧州中央銀行)の4名のエキスパートと、また、同年9月に英ロンドンにおいて、LSEとCass Business Schoolにて、2名の金融史の大家と、さらにEBA(欧州銀行機構)にて2名の上層部の方と研究交流を実施した。この交流からイギリス、ユーロ圏の銀行規制・監督政策の重要な論点を見い出せた。 第3に、2017年7月及び9月にイギリス・ロンドンで実施した内部資料の収集である。イングランド銀行及び英国公文書館で貴重な資料を閲覧し、その解析を進めた。第4に、同年11月に九州大学で開催された日本EU学会研究大会にて自由論題報告をさせていただいた。イギリスの銀行規制・監督政策における監督当局の観点、政策形成のプロセスについて報告を行った。歴史分析を核とする内容で、上記の内部資料収集の成果を発表した。第5に、同年12月に名古屋大学で開催された日本国際経済学会中部支部冬季大会にて報告をさせていただいた。さらに第6に、2018年3月にアメリカ・シカゴで開催された上記の第25回国際学会にて研究論文を発表し、世界の欧州研究者と有益な議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イギリス・グラスゴー大学における国際学会報告1本(2017年7月)、アメリカ・シカゴにおける国際学会報告1本(2018年3月)において、欧州における銀行規制の調和と限界をめぐる有意義なセッションに参加し、報告に対する質疑応答を通じて、貴重な知見を得た。200本以上の欧州研究報告を3日間開催する大規模な学会であったため、全期間をフル活用し、関連するセッションに積極的に参加、質問を通して、銀行規制に対する多角的な視点を学ぶ事ができた。 また、国内の日本EU学会で、イギリスの銀行規制の歴史分析と欧州の銀行同盟の取り組みを照らし合わせた分析を試み、自由論題報告をさせていただいた。十分な質疑応答の時間が確保されたため、参加者の方々などから貴重な見解を多数頂戴した。それらを今後の論文の改善に活かしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2018年5月に日本金融学会春季大会(専修大学)において、欧州銀行規制の研究発表を行う。討論者からのコメント、フロアからの質問を通して、論文のブラッシュアップを図る。また、6月には国際学会EUSAAP Conference 2018 in Taiwan (NTU: National Taiwan University)にて、イギリスの銀行規制・監督の歴史的分析を行った成果を発表する予定である。2017年7月及び9月に2週間ずつ、イングランド銀行(Bank of England Archives)及び英国公文書館(The National Archives)で内部資料収集を実施した。イギリスの銀行規制の原則的なスタンスと時代に即応した政策について分析を進めている。 そして、2018年10月に、フランス中央銀行(Archives de la Banque de France)及びイングランド銀行にて内部資料を収集する予定である。フランス中央銀行の歴史文書室に4日間滞在し収集と解析に取り組み、イングランド銀行に3日間滞在し、2017年に訪問して得た知識を活かして、研究を進展できればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ベルギー(ブリュッセル)での国際学会報告が、台湾(台北)での国際学会報告に切り替わったため。すなわち、2017年度末の支出の予定が、2018年度前半の支出に置き換わったため。
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