研究課題
英仏銀行監督の歴史的分析を主眼に置き、イングランド銀行、フランス中央銀行、国際決済銀行のアーカイブを調査するという重層的な歴史研究により、英仏の銀行規制・監督政策へのアプローチを解析した。第1に、2019年11月にイングランド銀行の内部資料を精査した。1979年の英国銀行法を大きな契機として、英国は銀行規制の在り方を徐々に法制度ベースに変更していくが、伝統的な裁量型の銀行規制政策は続くことになる。その「ソフト・ロー」アプローチの手法を採った理由として、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)において1974年創設以来、英国が主導権を握ってきたことが関係していることが明らかとなった。第2に、同年11月にフランス中央銀行の内部資料を閲覧した。フランス銀行法は1941年に成立し、英国と比較して早くから法規制に基づいた銀行規制政策が行われた。フランスはEEC(欧州経済共同体)の主要国として、欧州の第一次銀行指令、第二次銀行指令の中心に位置していた。そして、フランス中央銀行は重厚なBCBS資料を擁しており、英国と共に相当高い認識を持って国際銀行規制にあたっていたことが明らかになった。第3に、同年12月に国際決済銀行のアーカイブを精査した。グローバル化する金融取引に対し、どのように銀行規制をかけていくのかが当時の重要な課題であった。かつ、BCBSは、加盟国が多様な銀行規制を行っている中、いかに国際協調を図るかが問われていた。この1970年代後半から1980年代前半の現地資料を目にする中、英国、フランス、国際機関という3つの観点から銀行規制の調和について分析し、英仏スイスの3か国で、専門家と示唆に富む研究交流を実施した。この研究成果を2019年5月の日本金融学会全国大会(学習院大学)にて発表した。また最新の成果として、英国とBCBSの関係について論じた学術論文を同年12月末に発表した。
日本金融学会の金融史セッションで科研費による研究報告を行った。
すべて 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Discussion Paper Series, Faculty of Economics and Management, Institute of Human and Social Sciences, Kanazawa University
巻: 50 ページ: pp. 1-21
http://jsmeweb.org/ja/annual/prog19s.html