研究課題/領域番号 |
17K03841
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松本 俊郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (70135929)
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研究分担者 |
張 暁紅 香川大学, 経済学部, 准教授 (00452722)
山本 裕 香川大学, 経済学部, 准教授 (10550113)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中国東北 / 満洲 / 工業化 |
研究実績の概要 |
本研究の課題は以下の3点である。 (1)満洲国末期、国共内戦期、社会主義中国の創生期という3時期の工業化をめぐる多様な関係を、戦前期に起源を持つ中国民族工業、日系企業、戦後に新設された私営企業、公営企業が、再興、接収、統合を繰り返しながら社会主義体制に統合される過程として検討する。(2)戦前戦後を通じて中国東北工業の拠点となってきた瀋陽、鞍山、長春、哈爾浜、大連を比較し、(1)に関する共通性と違いを検証する。(3)発掘した満洲中央銀行編『満洲国会社名簿』、満洲国経済部『工場名簿』、活用されてこなかった大連商工会議所編『満洲銀行会社年鑑』の最新版を中国訪問調査を含む現地調査によって資料的に補強し、それらをつきあわせて、拠点工業都市の満洲国末期における分野別の企業、工場を確定する。 平成29年度においては、以下のような活動をおこない、実績をあげた。 (4)活動:年度初めにメンバー3名が集まり、問題意識と追求課題に関する共通理解を深めるとともに、資料調査と分析作業の分担、年度途中での年間計画の具体化を図った(高松、5月)。メンバー3名の夏休みのスケジュールを調整して、中国吉林省にある長春市図書館、長春市档案館に対する現地調査を行った(8月9-16日)。年度末に分析作業の成果を持ち寄って研究会を開催し、年間の研究活動の総括と残された課題を確認した(岡山、3月)。 (5)実績:メンバー3名は、5回の学会報告と2本の論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成 29 年度の課題は、(1)訪中調査(長春市図書館、吉林省図書館)を実施し、さらに(2)1944年『満洲国会社名簿』と、これまで都市間の比較資料としては利用されることがなかった 1942 年『満洲銀行会社年鑑』、そして張暁紅(2017)が奉天、哈爾浜を分析対象として利用したに止まっていた1943 年『満洲国会社名簿』、1941 年『工場名簿』を基本資料とし、鞍山、奉天、哈爾浜、長春、大連の各拠点工業都市における企業、工場の存在を分野別に確定することであった。(1)については29年8月9-15日に実施、いくつか重要視y労を発掘した。(2)については鞍山、奉天、哈爾浜について、基礎作業を終了した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、(1)長春、大連についてのデータ整備を進めるとともに、(2)作業の進展している拠点都市についての分析を進め、まずは地方学会で成果を発表する。(2)に関しては、特に1940年代後半に実施された旧日系企業の公営化と1950年代半ばに行われた中国民族企業の公私合営化を重点的に取り上げ、統計データ上の変化と政策資料との突き合わせを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国から研究者を招待するという計画が、諸事情により実現しなかった。30年度についても同様の事態が発生する可能性が有るので、研究グループ以外の研究者と交流をはかり、視野を広げるという課題については、日本国内の研究者との交流を視野に入れて追求する。
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