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2023 年度 実施状況報告書

ドイツ労働集約型産業の発展とその国際比較

研究課題

研究課題/領域番号 17K03843
研究機関広島大学

研究代表者

森 良次  広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 教授 (10333999)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2025-03-31
キーワードドイツ玩具産業 / 労働集約型産業発展
研究実績の概要

本研究は、工場制化の度合いが低く中小経営が支配的な産業をドイツにおける労働集約型産業と捉え、その動態を世界市場とそこにおける国際競争関係のなかに位置づけ評価するものである。2023年度は、前年度に引き続き、ドイツ最大の玩具企業、Bing社の企業集中過程(第1次大戦後)で、同社に買収された中小規模の玩具企業の動向を中心に調査した。その結果、次の点が明らかとなった。

①Bing社に買収された玩具企業はいずれも労働者20~50人未満の完成品メーカーであり、玩具市場において評価が定まったブランド企業であった。創業者の前身は、手工業者または手工業者に準ずる存在として自己を認識する家内工業経営であった。創業は第一次大戦前に限らず、同大戦後のケースもみられた。小規模経営から身を起こし工場を設立するに至る経済的社会的上昇ルートが手工業的生産者の間に存在したこと、それがイギリスおよびアメリカと比較した場合のドイツ金属玩具産業における中規模工場の層の厚さにつながっていたことが示唆される。
②上記の中小経営の工場制化のプロセスは、高質品生産への移行と軌を一にしていた。玩具企業は、高質品生産を目的に工場制に移行するか、工場制生産においては製品分野を限定せざるをえないがために高質品化を追究した。
③買収された玩具企業の労働力構成をみると、男性労働者の割合が半数を占める企業が、調査した8社のうち5社で確認された。Bing社における高い女性両労力比率と対照的である。
④第一次大戦後の輸出不振のなかで淘汰されたのは、女性家内労働者と廉価品を生産する家内工業経営であり、工場制化を果たした中小経営は、概ね経営を維持した。また家内工業経営に支配的な高度な分業関係はある程度縮小し、生産の内部化がすすんだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

学内業務が多忙でドイツでの史料調査が実施できなかったため。

今後の研究の推進方策

Bing社に買収された企業の動向を引き続き調査するとともに、Bing社の企業集中を戦間期ドイツ玩具産業の新展開と位置づけ、労働集約型産業のなかから労働集約型大工業が登場する事例として評価する論文をまとめる。

次年度使用額が生じた理由

2023年度に史料調査を実施できなかったため、執行残が発生した。2024年度の執行計画として、国内資料調査(東京大学図書館)と学会参加に伴う費用にあてる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 丸山優のイタリア経済史・ポスト大量生産体制論2023

    • 著者名/発表者名
      森良次
    • 雑誌名

      日本福祉大学経済論集

      巻: 67 ページ: 35-57

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公開日: 2024-12-25  

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