研究課題/領域番号 |
17K03844
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
古賀 大介 山口大学, 大学院東アジア研究科, 教授 (50345857)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 第一次大戦 / 国際業務 / イギリス大手銀行 |
研究実績の概要 |
本年度は、第一次大戦直前までに「外国部」を設置していたイギリス大手3銀行のうち、昨年度までに史料調査を行えていなかったウエストミンスター銀行と、昨年度時間的制約から十分な調査が行えていなかったミッドランド銀行の2行を主な対象とし、それぞれの継承銀行アーカイブで調査を行った。今年度も昨年度に続き、本研究の主要テーマである「第一次大戦期」における1.大手銀行「外国部」の国際業務展開、並びに2.国際業務を担当する人材の確保・育成に関する調査に努めた。とりわけ、本年度は「第一次大戦期」が戦後との連続性の中でいかなる意味を持つのかという点を意識し、対象期間を「第一次大戦期」以降(史料によっては1960年代近くまで)に広げた。 今年度新たに収集した史料は、昨年同様2000~3000頁に上り(昨年度分と合わせると5000頁以上)、現在も分析の途上である。このため引き続き内容の公表は差し控えるが、今回の調査では、ウエストミンスター銀行の「第一次大戦期」から両大戦間期(史料によってはそれ以降分を含む)における「外国部」の損益計算書、貸借対照表等、その活動実態を示す様々な史料を新たに発見した。また、ミッドランド銀行「外国部」についても、今年度新たに第一次大戦終結以降(1919年~)の損益計算書、貸借対照表を入手した。さらに、当該年度の両行「外国部」人事関係史料についても新たに入手した。 これまでに入手した上記の史料の多くは、研究史上、未開拓・未使用のものとみられる。よって、現在途上にある入手史料の整理・分析により、これまで不明であったイギリス大手銀行「外国部」の「第一次大戦期」及びそれ以降の人事を含む活動実態が研究史上はじめて明らかになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度、勤務校での繁忙を極めた職務状況(主に管理職業務に関するもの)により、想定した研究時間を確保できなかったことが主な理由である。この他に、台風等の自然災害や感染症等の問題により、研究協力者との研究打ち合わせの機会が失われたことや、史料調査の期間(もしくは回数)を十分確保できなかったことも挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、イギリス大手銀行のうち、第一次大戦前より「外国部」を設けていた3銀行の調査については、十全とは言い難いもののほぼ目途がついた。もっとも、第一次大戦後、独自の海外展開を目指した大手銀行バークレーズ銀行に関する調査をまだ行っていないため、今後これに着手したい。ただ、今般の感染症問題の影響により実施できる時期が不透明なため、当面は、これまで入手した史料のうち、先の3銀行「外国部」の活動実態に関する分析を優先的に行い、研究成果の取りまとめに向けて尽力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由として、第一に、当初、本年度10月及び年度末に予定していた研究協力者との打ち合わせが、台風及び感染症問題の影響により実施できず、次年度以降に持越しになったことである。第二に、勤務校での職務状況や感染症問題の影響等により、イギリスでの史料調査期間を十全に確保できなかったことなどが挙げられる。次年度使用分については、感染症問題が落ち着いた段階で速やかに執行するように努めたい。
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