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2018 年度 実施状況報告書

近世ロンドンの給水事業に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03849
研究機関高崎経済大学

研究代表者

唐澤 達之  高崎経済大学, 経済学部, 教授 (10295438)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードロンドン / 給水事業 / 近世
研究実績の概要

近世ロンドンの給水システムの大きな転換のひとつは、株式会社形態をとる私企業によって個別世帯への給水システムが先駆的に確立した点にある。2018年度は、この近世ロンドンに成立した給水事業会社についての研究を進めるべく、近世ロンドンの給水事業に関する文献の収集と研究史の整理を進めるとともに、夏季にはロンドン市文書館London Metropolitan Archivesとイギリス国立公文書館National Archivesにおいて、近世の給水事業会社に関連する史料の収集を行った。帰国後は、代表的な給水事業会社のひとつであるChelsea Waterworks Companyについて、会計記録のデータベース化、理事会議事録などの転写を進めた。
これらの作業を通じて、①株式や社債の発行などを通じた資金調達のあり方、②個々の株主の出資額・居住地・職業・社会的地位・異動の状況、③株主への配当の長期趨勢、③理事会の権限と機能、④提供する給水サービスの内容や地理的範囲と顧客の社会層、⑤主たる収入源である水道利用料収入の長期的な趨勢、⑥給水設備における技術革新のあり方、⑦設備の更新・拡充のあり方、⑧企業統治のあり方(主たるステーク・ホルダーたる出資者、経営者、サービスの享受者である都市住民等の利害がいかに事業運営に反映されたのか)等の点に関する重要なエビデンスを収集することができた。
これらのエビデンスを相互に関連させつつ、当該給水事業会社の企業活動の総体を有機的に復元することを通じて、近世ロンドンにおいて先駆的な給水システムが成立した歴史的背景、またそれがロンドンの社会経済に及ぼしたインパクトについての考察を進めた。
この研究成果の一部は、2019年6月にイギリス都市農村共同体研究会で報告し、学会誌へ投稿する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ロンドンの文書館における史料調査の結果、複数あるロンドンの給水事業会社のうち、長期間にわたる経年変化を追うことができるほどの理事会議事録や会計記録が残存しているものは限られていることがわかり、当初経営分析の対象として想定していたいくつかの事業会社については、断片的にしか史料を収集できなかったため。ただし、Chelsea Waterworks Companyについては、史料の残存状況がよいため、理事会における意思決定や財務状況をかなり詳細につかむことができ、長期間にわたる給水事業の具体的な様相を復元できた。

今後の研究の推進方策

Chelsea Waterworks Companyの経営分析を軸にして、断片的に史料が残存している他の給水事業会社と比較しつつ、近世ロンドンの給水事業の全体像に可能な限り近づきたい。

次年度使用額が生じた理由

注文した書籍の納品が遅れたため。

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公開日: 2019-12-27  

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