研究実績の概要 |
本研究の課題は,非登録徒弟の存在が、早期工業化(いわゆるスミス的成長期における工業化)において世帯単位の生産を解体させる際に重要な役割を果たしたことを示すことにある。 しかし、非登録徒弟はその存在自身が本来資料に残らないことから、欧米でもあまり認知されていないといえる。そのため前課題研究の時点で、いくつかの都市に関して、その存在を示す論文や口頭報告を、英語でも行ってきた。Southampton, やExeterやGloucesterなどの都市に関してすでに成果を公表した。これらの都市のうちExeterとGloucesterはいずれも、この時期の工業化を担ったとされる地域中心都市(ShawTaylorlor,.,andE.A.Wrigley[2014].‘The Occupational Structure and population change',Floud,R.J.Humphries and P.Johnson,(eds.),The Cambridge Economic History of Modern Britain,Vol.1,1700-1870,CambridgeU.P.p.77)であった。 しかし。これらはいずれもイングランド西南部の都市であった。そのため本研究においては他の地域の地域中心都市の非登録徒弟の資料の収集に努めた。 具体的には、イングランド東部のNorwich市と中北部のShrewsbury市に関して徒弟登録簿と市民権承認簿を入手しできたので、続いてデータベース化した。さらに、非登録徒弟析出の基礎作業である、姓名照合分析を開始したところである。
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