研究実績の概要 |
本研究では基本的に都市史の枠組みで研究を進めてきた。日本史との比較に基づいて、わが国でも古くからある見解すなわちイギリスのギルドが近世に解体したとする見解は実証的に支持できないことを明らかにするとともに、18世紀には農村工業などとの競争で排他化していくドイツなどヨーロッパ大陸のギルドとは異なり18世紀にはイギリスのギルド自体は解体せずに、むしろ職業訓練団体していったことをイングランド西部の都市に関して実証的に明らかにした。そのことを通じ、グローバルヒストリで言われる小分岐論の枠組みと接続する方法を示すと同時に従来研究していた家族史とも接点を見出すことになった。すなわち、ドイツではギルドの排他化手段として実子徒弟の優先という直系家族原理が見られるのに対して、イギリスでは実子を優先しない絶対核家族原理に基づく制度が見られたからである。次の研究ではさらにこの点に焦点を当て実証的に進めていきたい。 具体的には以下のような主な成果を得た。(いずれも査読付き) 米山秀[2019]エクセタ縮絨工ギルドの衰退のメカニズム――最近の二つの論争との関連でーー『比較都市史研究』第37巻第1,2号。31-47頁。 Yoneyama,M.[2019]The decline of guilds and their monopoly in English provincial towns,with particular reference to Exeter,Urban History.Vol.46:isuue3 ps443-463.
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