研究課題/領域番号 |
17K03852
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
大島 朋剛 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (20619192)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 酒類消費 / 鉱山労働者 / 地主兼酒造家 |
研究実績の概要 |
本研究「近現代日本における酒類消費に関する研究」の初年度にあたる平成29年度は、以下の点を中心に研究を推進した。 まず、秋田県鹿角市の旧地主酒屋兼販売店所蔵の史料について、調査、整理および撮影を行った。平成29年9月には、文書保存箱に移し替えた文書の写真による現状記録および概要把握を開始した。史料の所有主により現在資料を保存している蔵から別の蔵に移し替えてほしい旨の要請があった。同年11月には、木箱に入っていた分の史料をすべて史料箱に移し替えた上で、別の蔵に運び入れ、研究費にて購入したかご台車に整理して保管した。平成30年3月には、概要把握が未実施であった箱に目を通し、その中からは幕末・明治初期の書簡類や所蔵主の家の由来などが記された「永福帳」の撮影なども行った。そのほかにも、鹿角の周辺に存在した鉱山町の鉱夫に対する清酒販売状況や代金決済に関する帳簿類についても閲覧を行い、あわせて上記史料の撮影と、それを基にしたデータベース作成を並行して実施した。 また、本研究の研究協力者とともに、鹿角市立図書館に所蔵される『鹿角市史』作成時に集められた史料群の整理に関与することになったことは、今後の研究がさらに広がりを見せる可能性をはらんでいる。 次に鹿角の近隣に存在した鉱山企業の史料の中から、鉱山夫の生活の様子が分かる史料を調査するべく、平成30年3月には秋田県小坂町の図書館や資料館を巡って史料蒐集を行った。その中からは、当時の鉱山労働者の酒類消費にかかわる資料も新たに発見された。 最後に、次年度の予備調査として、平成29年4月には北海道余市町のニッカウヰスキーの博物館を訪れ、その中に大阪高等工業学校の醸造教育の内容を示す資料を発見したことは、今後の研究をさらに進展させるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在のところ、当初予定していた史料調査および整理は極めて順調に進んでいる。また、当初予定していなかった秋田県鹿角市の教育委員会との連携調査も開始されつつあり、当初の計画以上に研究は進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、秋田県鹿角市およびその周辺地域における調査を継続しつつ、日本酒以外の酒類消費に関する調査もスタートさせる予定である。当面は、調査中の鹿角市の酒造家とは高等工業学校の同級生であった竹鶴正孝に関する資料が所蔵されている北海道余市町の調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は調査の回数および人数を当初の予定よりも増やしたことにより、PCやカメラなどの設備備品費を執行しなかったため、次年度以降にその執行を回すこととした。
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