研究課題
基盤研究(C)
本研究は身長や体重などの体位データを指標として「生活の質」を検討する計量体格史研究である。わが国を対象としたこれまでの研究では、経済発展と体位成長との関係を説明する「逆U字仮説」に基づいて、おもに産業化の初期段階すなわち明治期が対象とされてきた。本研究はこれまでに対象とされてこなかった、産業社会が確立し体位が向上した昭和戦前期を対象として、青年期における労働、学童期における「子どもの仕事」が体位成長に与えた影響を明らかにした。
経済史
本研究は、昭和戦前期における「生活の質」を、体位成長と労働・子どもの仕事との関係から検討することによって経済史研究とくに計量体格史研究に貢献することができた。同時に、身長の伸びは累積された健康状態を反映しているので、健康に与えた運動エネルギーWの影響を、地域や社会階層という視点から検討するという点では、対象が過去であるとはいえ、社会格差と健康との関係を取りあげる社会疫学的な研究成果ともいえる。