研究課題/領域番号 |
17K03855
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
浅田 進史 駒澤大学, 経済学部, 教授 (30447312)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ドイツ / 植民地主義 / 植民地経済 / 帝国主義 / グローバリゼーション |
研究実績の概要 |
2019年度は研究計画通り、ドイツ植民地通貨・金融論に焦点をあてて資料収集・分析をすすめた。中心に取り組んだ資料は、ドイツ連邦文書館(ベルリン・リヒターフェルデ)に所蔵されているドイツ領東アフリカで通貨としてのルピーを発行したドイツ領東アフリカ銀行関連の史料である。1904年にドイツ領東アフリカでは、ドイツ東アフリカ銀行が設立された。この銀行の設立はドイツ領東アフリカ経済をインド洋経済と接合させる金融基盤を作りだすためのものであった。 2019年8月21-31日に行った現地調査では、すでにデジタル化されている資料を多く確認したが、調査を進めるなかで、「ドイツ領東アフリカにおける通貨問題」と題された史料群のなかで「現行のルピー通貨に代わる帝国通貨の導入」と題されたファイルをみつけ、撮影することができた。また、同時に前年度から継続する課題であった「植民地経済委員会」史料についてもフォローアップ調査を行った。 2017年度に実施した史料調査の成果の一部として、政治経済学・経済史学会冬季学術大会自由論題で、「19世紀後半・20世紀初頭のドイツ船籍によるアジア間中国系労働者輸送」と題した学会報告を行った。 そのほか、本研究プロジェクトの背景となる植民地支配と脱植民地化に関して、2018年度から準備していた研究動向論文「植民地責任論からみた1919年――民族自決と戦争責任」を『大原社会問題研究所雑誌』誌上で発表した。 3月にふたたび短期の現地調査を行う予定であったが、新型コロナ感染拡大の影響から取りやめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度までの学務の制約から解かれたことで、これまで本研究プロジェクトの枠内で収集してきた史料の分析をいっそう進めることができた。その成果として、昨年度の実施状況報告書でその予定を記載した学会報告も行うこともでき、おおむね順調に進展しているといえる。 しかし、3月に予定していたフォローアップの史料調査を実施できなくなったことで、やや史料収集に遅れが生じた。とくに、大部の史料群である「植民地経済委員会」史料の収集がまだ不十分となっている。 ただし、これまでに進めてきた史料収集によって、本研究プロジェクト全体に与える影響はさほど大きくはない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2020年度は、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))へと研究を一段と深化させることを念頭に、これまで収集した史料を分析し、その成果を学会誌へ投稿していく。 また、2019年度に予定していたフォローアップ調査を行いたいが、新型コロナ感染症にともなう渡航制限のため、まだ実施できるか未定である。 国際共同強化(A)の遂行のために、ベルリン自由大学のゼバスティアン・コンラート氏と連絡をとりながら、できるかぎりこれまでに集めた史料の分析を中心に、研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に現地でのフォローアップ調査を予定していたが、新型コロナ感染症問題のため、取りやめたことが最大の理由である。このフォローアップ調査は、2020年度に行う予定だが、今後の新型コロナ感染症問題の動向によっては計画を変更せざるをえない可能性がある。
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